TOPPAN 衆議院議員平将明公式サイトで拡散した画像の改ざん有無や来歴情報等を確認する実証を実施 偽情報・フェイクニュースの抑止に貢献
TOPPANデジタル株式会社は、画像データに出所や編集履歴などの来歴情報と電子透かしを埋め込み、その画像の真正性を確認する実証を平将明衆議院議員(デジタル大臣)の公式サイトで開始した。同実証は、近年発生している画像の改ざんや不正使用によるフェイクニュースの抑止に貢献することを目指している。
実験は、平将明衆議院議員の公式サイト上に公開された顔写真等の人物情報が含まれる画像データにC2PA規格に準拠した来歴情報と電子透かしを埋め込み、埋込精度を確認。その画像が二次利用されたケースを想定した検証を行うことで、画像に対する真正性確認の有用性を検証した。
※C2PAとはデジタルコンテンツの出所と信ぴょう性に対し、オープンスタンダードと技術仕様を策定する標準化団体を指す
・実証期間
2024年10月11日(金)~2024年12月27日(金)
・検証内容
1.本物と偽情報の判別に関する、技術的な実現可能性を確認するために、検出精度と改変耐性に対し、技術的な評価を実施。画像に、真正性情報として電子透かしや来歴情報を付与し、平将明衆議院議員公式サイトに掲載後、電子透かしと来歴情報の性能を検証。
2.偽情報対策への有効性を確認するため、真正性情報が埋め込まれた公式サイトの画像が二次利用されたというシナリオで検証を実施。SNSやWebサイトでの二次利用に対する画像の電子透かしと来歴情報の性能を検証。また、二次利用されている画像を収集し、収集画像の真正性情報を検出。結果に基づき本物か偽情報かを判別した。
・確認できた検証結果(2024年12月15日現在)
1.電子透かしおよびC2PA規格に準拠した来歴情報は、アップロード後も情報が保持され、偽情報と本物の判別が可能であることが確認された。しかし、電子透かしは、特定の加工方法によって検出精度に影響を受けることが判明した。
2.ほとんどのSNSは、画像圧縮により電子透かしの劣化やC2PA規格に準拠した来歴情報の欠落が起き、SNS毎の対策が必要なことが分かった。検証期間終了まで二次利用されている画像の収集を続け、収集した画像の検出作業を進めた。
近年、AI技術の進歩や画像編集ソフトの発展により、画像の改ざんや不正使用による偽情報やフェイクニュースがもたらす影響は深刻化している。特に、政治の分野では市民に対して発信する情報の真正性の担保は重要な課題となり、誤った情報が拡散することは、市民生活を脅かすことになると危惧されている。2024年2月に開催された、ミュンヘン安全保障会議では「選挙における AI の不正利用に対抗するための技術協定(ミュンヘンアコード)」が発表されるなど、世界では対策が検討され始めている。
TOPPANデジタルは、真正性証明や、SBT(Soul Bound Token)などのアセット管理、デジタル証明(DID/VC)を用いて、メタバースにおけるなりすまし等のリスクに対応するため、アバターに電子透かしやNFTを付与できる「AVATECT(R)」を2022年より提供している。
同実証では、電子透かしと来歴情報を画像に埋め込むことが、インターネット上で拡散された画像に対する情報源や改ざんの有無を確認する手段として有効であることが確認できた。その一方で、SNSへのアップや特定の加工によって、付与した真正性情報が影響を受けるという課題とその原因が明確となった。TOPPANデジタルは2025年度内にコンテンツに対応した「AVATECT(R)」を提供することを目指し、関連団体と協力しながら、これらの課題解決と真正性技術のさらなる精度向上に向けた研究開発を進めていく。さらに、選挙に限らず著名人のコンテンツ保護サービスの事業化を進め、正確な情報を正しく取得できる社会の実現に貢献することを目指す。