page2023 基調講演で”無敗営業”と「創注」テーマに印刷業の営業戦略とビジネス戦略についてディスカッション
公益社団法人 日本印刷技術協会(JAGAT)主催のpage2023がスタートした。
その皮切りとなったのが1月31日、オンライン開催された基調講演で、テーマは「無敗営業力と印刷ビジネス力で『創注』を実現!」。「無敗営業」の著者である高橋浩一氏(TORIX)によるセミナーを聞く第1部と、それを受けて印刷ビジネス力についてディスカションする第2部の2部構成で行われた。
第1部の高橋氏は、営業担当者と、受け容れる顧客企業側との意識のギャップについて指摘。顧客企業の大半が、営業担当者から価格を提示される前に購入するか・断るかを決めており、その理由として「どうせ営業マンは自社(自社商品のことなど)をわかってくれないから」と思っているからだという。
その一方で、営業担当者は、顧客の本音が見えずらいと思っており、「どうせ価格で決まってしまう」と思いがちであるとした。
そのため、営業担当者と顧客企業側の意識のズレをなくしていくことだけでも、営業活動が向上すると解説。そのためにも企業毎に、誰もができる”営業の型”をつくることで生産性が上がるとし、営業活動における「効果的な質問」「背景を問う質問」などの秘訣を紹介した。
第2部のディスカッションでは、本間充氏(マーケティングサイエンスラボ)と塚田司郎氏(JAGAT会長/錦明印刷)、モデレーター:郡司秀明氏(JAGAT)が、経験に基づく考え方や印刷ビジネスについてディスカッションした。
口火をきったのは本間氏で、有名化粧品メーカーや消費財メーカーの取り組みから、扱う商材によってみるべき市場やマーケティングが異なることを解説。それにより、印刷業は購入者が消費者ではないという視点でのマーケティングが、今後ますます必要になってくるのではないかと語った。
特に考え方として、「印刷物を必要としている企業が欲しいのは、安い・早い印刷物が欲しいのではなく、印刷物を使ったビジネスの成果である」ことを指摘し、誰に配るのかを明確に理解しているのかがポイントではないかとした。
塚田氏は、自社(錦明印刷)の業務の変遷を披露。2008年には、出版印刷や商業印刷が業務の大半だったが、昨今では出版および商業印刷は約6割になり、4割がフォトビジネスやデジタルプリント&プロモーション業務に替わってきている。その背景には、従来型の印刷ビジネスにとらわれることなく、”古き伝統の上に新しい革新性を乗せること”を続けてきた結果があると語った。
また新しいビジネス分野について、デジタル印刷だからできること、印刷技術のシステムが強みになっているなど、時代に応じた業態変化について解説。印刷に付帯するサービスという概念でビジネスを考えることなく、キャッシュフローの多様化や安定化のためにデジタル技術をいかに組み入れていくのかを経営者として考えるべきではないかと提案した。