田中紙工 後加工技術+PODで市場拡大へ
オリジナルトランプ・かるたの新しい可能性
高精度の断裁技術及び製本加工技術を持つ株式会社田中紙工は、カード印刷に求められる厚紙に対応するRICOH Pro C9200を導入し、「断裁と抜き」の技術を生かした多品種・小ロットのカード印刷受注を拡大させている。同社田中眞文社長とPOD事業部(印刷室)を統括している加藤千晶氏に話を伺った。
厚紙と生産性でRICOH Pro C9200を導入
田中紙工がRICOH Pro C9200を導入したのは、2022年秋に遡る。これまで使用してきたPOD機の代替えのタイミングを迎えたことをきっかけに、様々なシステムを検証。RICOH Pro C9200についても試し刷りを行い、導入を決めたという。システム選定でポイントとなったのが、カード類で採用する厚紙への対応力である。RICOH Pro C9200は厚紙の四六判40㎏まで印刷が可能で、生産性や表裏の見当精度も高いことに注目し、導入を決めたと田中社長は振り返る。
同社のPOD事業部で製造している大半が、トランプやトレーディングカード、かるたなどのカード類である。そのため、扱う用紙もカード類が270g/㎡、かるたはスタンダードサイズで310g/㎡となり、要望に応じて420g/㎡まで対応することもある。そのため厚紙対応は重要なポイントであることに加え「RICOH Pro C9200は厚紙でも出力スピードなど生産性が落ちることなく製造できるので、生産性が向上したと感じています」と加藤氏は評価している。
カード印刷に重要な表裏見当合わせもスムーズに
同社が受注しているカード印刷は、1セットだけ発注する人が圧倒的に多く、1~2セットを発注する人で7割を占める。一方で、企業や販売用として発注されるカード類は、件数は多くはないが、ロット数が200~300部に上る。こうした極小ロットから中ロットのカード製造が、同社の中でも成長率の高い仕事となっている。
なお加藤氏は、カード製造において特に気を遣う作業が「検品」であるという。カードを手にとる人にとって、たった1つのカードとなるため、その1つのカードに印刷ミスがあってはならないからだ。
同社では、印刷~ブュッシュ抜きした後に検品し、ケースに入れて、納品する。検品作業は全て目視で行われ、特にカードの背にあたる共通した絵柄の部分に注意を払う。その共通した絵柄の部分の精度を維持するためにも、POD印刷の表裏の見当精度の高さが求められてくる。PODで印刷した時、表裏見当があっていないと、ブッシュ抜きでズレが生じてしまうからだ。表裏見当を合わせることは重要なポイントで、その意味でもRICOH Pro C9200は表裏見当が合わせやすく、「スムーズな生産が実現しています」と田中社長は語っている。
AIでオリジナルカード製造のハードルが下がっている
カード製造は、12月から3月にかけて繁忙期となる。年末はお正月向けのかるたがピークを迎え、年明けは卒園・卒業向けの記念トランプの受注が高まる。
卒園・卒業シーズンのトランプは、PTAなど保護者の団体から、卒園・卒業アルバムのプラスαの記念品として発注される。トランプの背の部分の共通した絵柄面には、集合写真や保育園・学校のエンブレムを入れて、数字の面は1枚ずつお友達の顔写真が入る。こうした卒園・卒業記念のトランプは、どこにでも置けて、誰でも手にとって遊ぶことができるだけでなく、同級生のお友達の写真が絵柄に使われている懐かしい記念品として大切にしてもらえる良いグッズとなる。
この他に、企業が研修向けに制作する教材や、占い師が販売するタロットカード・スピリチュアルカードなどの需要も多い。ただし、タロットカードは規定サイズとは異なる場合が多いため、大半が完全データで入稿される。
完全データ入稿について、最近では「生成AIで絵柄を作成してデータをつくり、入稿してくる人が増えています」と加藤氏。生成AIにより、デザインが苦手な人でも気軽にカードが作れるようになり、オンデマンドのオリジナルグッズ作りのハードルが下がっていると指摘する。
「オリジナルトレーディングカードを作る人もいます。ルールもオリジナルで、発注は1個か2個です。自分のための楽しいカード作りをしているなと思います」。「気軽にオリジナルカードが作れるようになっているという認知度が高まれば、さらに市場が広がると期待しているところです」と田中社長は展望している。
同社では、かるたにおいても、規格サイズ(68㎜×90㎜)以外のサイズについて完全データで受注する。こうした多様なサイズへ対応できる柔軟性は、“抜き加工”を強みとしている田中紙工がもつ数百種類の抜き型が威力を発揮しており、「だいたいのサイズには対応できます」(田中社長)という。
一方の規格サイズは、発注専用サイト「オンデマンドトランプ.com」「オンデマンドカルタ.com」にテンプレートが用意されているので、スマホからでも画像を選んではめ込むだけで簡単に作成できる。クラウドを使った仕組みのため、作業が途中でも保存できるので、すき間時間につくることもできる手軽さがある。こうした利用のしやすさからスマホからのオーダーが7割に上っている。
過去最高の売上高になったカード受注
田中紙工におけるカード事業について、「本体の事業より伸び率は約3倍違う」という田中社長。カード製造をする印刷事業部の10月度の売上高は過去最高を記録した。
オリジナルトランプ・カード製造を始めた頃は横ばいの状況だったが、サイトリニューアルによりユーザーインターフェイスが向上し、顧客層が増加。その忙しさに合わせるようにRICOH Pro C9200が導入され、スムーズな製造が実現し、生産性の向上や再現性のアップなどが相乗効果を生み「より仕事も増加している」と加藤氏は感じている。
全体的に受注が増えていることに加え、1~2個発注する個人用だけではなく、200~300ロット発注する企業用や販売用のオリジナルカードが増えていることも受注増を後押ししている。
田中紙工では、従来のトランプのサイズであるブリッジサイズに加え、少し幅広のポーカーサイズも追加し、年内からサービスをスタートさせる予定だ。サイズパターンを増やすことで、大きく画像を見せたいと思っている市場の掘り起こしに期待を寄せている。
「後加工を強みとする会社のほうがPODのメリットを生かしたビジネスがしやすいかもしれません」と語る田中社長。11月21日と22日には東京都立産業貿易センターで開催の「保育博2024」に初参加するなど、“第三の市場”を求めた取り組みも展開中だ。今後は、さらに1個からオリジナルカードが作れることの認知度を上げるためのプロモーションを続けていくことが大切だと語っており、SNSなどを活用しながら幅広い層にPRしていける取り組みを計画中である。
株式会社田中紙工
本社:埼玉県戸田市笹目南町27-4
戸田工場:埼玉県戸田市笹目南町12-22
https://www.tanakashikou.co.jp/