博伸社 バリアブル印字後の員数と検査で万全の品質管理~印刷から仕上げまでワンストップ体制

 株式会社博伸社は小ロットから大ロットまでのバリアブル印字を得意としている。クライアントから支給された刷本に、インクジェットプリンターでナンバーや二次元コード、バーコードなどの可変部分を追い刷りするサービスを提供。多面付けされた菊全判紙に一気に印字することができる業者は少なく、大手印刷会社をはじめとする同業者から頼られる。一方、バリアブル印字は可変コードを含めた連番や丁合、員数の検査が必須。同社では断裁工程に入る前に必ずそれらを検査し、間違いなく納品する。その体制を支えるのがウチダテクノの検査と高速計数を同時に実行する紙枚数計数機『カウントロンX』である。

菊全判で多面付け
一気にバリアブル印字

 同社は1948年、製本会社の牧野製本所として創業し、伝票製本を主体に早くからナンバリングの需要を取り込んできた。その後、損害保険関連や生命保険関連の印刷物の扱いが増えていった経緯から、2000年に商業印刷物向けにナンバー以外のバリアブル印字サービスにも着手。以降、ナンバリング装置以外にも、顧客のニーズに沿ってインクジェットプリンタヘッドや搬送ラインなどの設備を増強した。現在ではバリアブル印字専用のUVインク2ライン、水性インク1ラインにより、1日に最高で4万5,000~5万シートの生産能力を持つ。最大用紙サイズは939㎜×幅939㎜に対応し、多面付けされた状態で一気に印字する能力を備えた。

 昨年5月にはUV乾燥装置付きの菊全判5色オフセット印刷機を導入。印刷から印字、仕上げまでのワンストップ生産体制を強化した。これによりスピード対応が可能になり、先般受注したシリアルナンバー入りのチラシでは、二日間の作業期間で納品が可能となった。35面付けで菊全紙に印刷し、乾燥を待たずに印字・断裁する強みを活かした。
 同社代表取締役の牧野佑介氏は、「一度、印刷から離れて印字に集中しようという時期がありましたが、先代がワンストップ機能を強化する方針を打ち出し、昨年、菊全判5色機を導入しました」と述べる。近年、可変二次元コードからネットに誘導し、利用者のアクセスログから精度が高いマーケティングデータを抽出する手法が多くの企業の販促活動で採用されている。牧野社長はバリアブル印字について「紙媒体から電子媒体をつなぐツールで、ネットと紙媒体の橋渡し役」と位置付ける。

 バリアブル印字は主にクレジットカードの申込書、回数券、クーポン券、地域振興券、チケットのほか、証書、証明書、宛名、個人宛の金券など個人情報が絡むものもある。情報セキュリティに関しては2006年にプライバシーマークを取得して以降、更新を継続。バリアブル印字に利用するデータは完全オフラインのパソコンで作業するほか、入退室の管理徹底、利用後1ヵ月以内の個人情報関連データの消去など、万全のセキュリティ体制を敷いている。

 これらの印刷物は同じものが2つ以上あってはいけないもので、可変コードを含めた連番・丁合・員数の検査が必要不可欠。同社では紙枚数計数機『カウントロンX』、『カウントロン アイ』により確実な印字品質と枚数で納品している。

カウントロンXで
員数と同時に連番・丁合検査

牧野佑介社長
UV乾燥装置搭載のオフセット5色機
面付けされた菊全紙に一気に可変印字
カウントロンX(左)
二次元コードを読み込みながら員数
岩尾雄太課長

 同社は創業間もないころからウチダテクノ(当時は内田洋行の印刷・製本部門)と取り引きを開始。紙枚数計数機のカウントロンも早くから導入し、員数工程を効率化させている。最新の『カウントロンX』は、員数と同時に連番検査、丁合検査が可能で、検査履歴を記録することができる。二次元コードにも対応しており、同社では品質管理体制をさらに強化するために導入した。

 同社工務課課長の岩尾雄太氏は「バリアブル印字では数、印字品質が絶対です。数量の管理は当然で、一枚欠けてもクレームの対象となります。当社では“予備が入ります”というアバウトな数量の仕事は全くありません」と述べる。

 『カウントロンX』の検査履歴は、通常運転であれば利用することがない。クライアントからの問い合わせから追跡調査が必要になった際に活用される。

 「例えば、お客様から印刷物を重ねる順番が間違っていたという問い合わせがあった時に、履歴が残っていれば納品後に問題が発生した可能性があることがわかります。お客様はそれにより不具合の発生した工程を絞り込むことができます」(岩尾氏)

 同社では印字前と印字後に員数をかける。とくに印字後は員数と同時に、連番・丁合検査をかけた上で断裁に入る。品質のチェックに加えて、連番順に揃った状態で多面付けされた刷本を断裁するためである。バリアブル印字されたシートは連番順に自動で丁合される。データ通りに印刷すれば丁合を間違えることがないが、仮に順番が入れ替わっても、員数・検査の工程で発見することができる。かつ、断裁後に員数、連番・丁合検査をかけると、多面付け時に効率化が著しく低下してしまうが、同社では、印字位置と断裁順を工夫することで生産性を向上させている。

 「シートの状態でカウントロンで員数・順番チェックを行っていれば、その後の断裁工程で順番が崩れることはありませんので、 仕上げ断裁後に1枚1枚順番の確認をすることはありません」(岩尾氏)

 員数のスピードは最高で2,500枚/分。印字の生産力を十分に上回っており、員数・検査工程がボトルネックになることはなく、同社の生産スピードを支える。

 同社では今年4月に品質管理部会を立ち上げ、ISO9001が取得できるレベルにまで品質管理マネジメントの能力を高めていく。牧野社長は同社のそうした品質向上活動に向けて、「当社の品質管理の中でカウントロンの位置づけはインフラです。当たり前のものであり、なければ非常に困るものです」と『カウントロンX』に信頼を寄せている。

<「株式会社博伸社」概要>

株式会社博伸社
本社:東京都江東区潮見1-22-7
代表:牧野佑介氏
TEL 03-3699-5531
https://hakushinsha.co.jp/

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