ヤマシタ デジタル色校正のサービス領域を広げる

Proof Jet F1100AQで全判、厚紙対応

 株式会社ヤマシタが受注するデジタル色校正の比率は5割にまで高まっている。平台校正のニーズは根強いものの、利便性の面からここ10年間でデジタル色校正への移行が進んだ。そのトレンドを加速させたのはSCREENの印刷本紙校正用インクジェットプリンタ『Proof Jet F1100AQ』。これまでのデジタル校正機では難しかった厚紙や大サイズへの対応がデジタル色校正の需要を高めている。

デジタル色校正で活躍するヤマシタのProof Jet F1100AQ

 1979年に色校正会社として創業したヤマシタは、2003年に製版会社2社を統合し、DTP、製版サービスの提供を開始した。2008年には本機校正用にオフセット印刷機を導入。その後、オフセット印刷機のLED-UV化に踏み切り、主に印刷会社を顧客にした印刷受託生産を始めた。
 色校正と製版の技術をベースにした同社のカラーマッチングは、多くの印刷会社から評価されており、難易度の高い案件や相談が寄せられる。最盛期には平台校正機だけで42胴の設備を持ち、国内有数の色校正会社として認知されている。現在は約72名の人員で、全11台16胴の平台校正機に加え、デジタル色校正の設備としてB2判枚葉インクジェット印刷機、A3判プロダクションプリンタ、大判インクジェットプリンタが稼動。2020年2月には『Proof Jet F1100AQ』を設置した。
 デジタル色校正は2016年、B2判枚葉インクジェット印刷機の導入から本格的にスタート。同社取締役開発事業部部長の神谷昭夫氏は、「始めはなかなか需要が乏しかったのですが、数値による品質管理が印刷会社様に浸透したことで、デジタル色校正の方が合わせやすいという認識が広がりました。“校正刷りを見本にいかに本機を合わせるか”から、“本機からいかに校正刷りを合わせるか”という方向にあります」と、デジタル色校正が広がる要因を説明する。
 そうした環境が整った中で『Proof Jet F1100AQ』を導入したのは、将来的な平台校正からデジタル色校正への移行を見据えてのものだった。すでに平台校正の4色機、2色機の生産と部品の供給が終了し、将来的なサービスの持続性を見据えた時に平台校正機の後継機として最適と判断。L全判のサイズと1.2㎜までの厚紙への対応もサービス拡充のポイントとして機種選択の決め手となった。
 『Proof Jet F1100AQ』によるデジタル色校正の利点が顧客から認められるようになったきっかけは大手のコンビニエンスストアのポスターの案件だった。
 「その仕事は本機や、B2判枚葉インクジェット印刷機で大判に繋いで色校正を提供していました。Proof Jetであれば本機校正よりもコストが圧倒的に低くなりますし、菊全判が一発で出せます。そうした点がご評価されて、それからはそのお客様にずっとProof Jetを採用して頂いています」(神谷取締役)

デジタルならではの安定性
技術者の後継者問題も解決

 営業部営業1課課長の山本広基氏は、「お客様が刷り上がりの時間がある程度読めるので、当社に印刷データを送って、来社して持ち帰るということもあります。アナログ校正にない利便性です」と営業面のメリットを挙げる。平台校正や本機校正の場合、必ず品質をチェックした後に納品することになるが、デジタル色校正は数値で色を管理しているため、品質が安定する。「刷り上がってそのまま納品できるのは営業としてありがたいですね。機械の不具合によるアクシデントはこれまで全くありません」(山本課長)。平台校正が苦手にしているグレーの再現性も安定しており、刀のカタログの色校正は『Proof Jet F1100AQ』が指定されている。
 『Proof Jet F1100AQ』の用紙サイズは最大1,100×800㎜。四六全の用紙が扱えるため、パッケージや什器の色校正用途で多用している。
 「什器だと様々なパーツがあり、平台校正機の場合でも分割して刷ることになります。その分台数が増えてしまうので、お客様にはProof Jetであれば1枚にこれだけのパーツが配置できますとお話しています」(神谷部長)。1枚で全体が確認でき、かつ実際の本機と同じ面付けなので信頼性が高くなる。頁物の色校正もA4・8面で出力できるため、本機刷りと同じイメージで確認することができる。
 用紙については印刷本紙が利用できるので用紙の風合いまで再現される。製造部校正課課長の門脇昭宏氏は、「基本的にコート紙が多いのですね。ユーライトやニューVマットなどのマット系や、厚紙のコートボールも頻繁に扱います。厚紙だけでなく薄紙にも対応しており、特殊なもの以外だったら問題なく刷り上がります」と、様々な用紙のニーズに応える。
 プロファイルはそれらの用紙ごとに用意されている。顧客に応じたプロファイルも揃えており、『Proof Jet F1100AQ』だけで30種類を超えている。
 オペレーターの菅家さとみ氏は、「一度覚えてしまえばプロファイルを呼び出すだけで出力できます」と操作性の高さを強調する。普段はアシスタントとして、平台校正の用紙の準備やプレートのパンチ、刷り上がった校正紙の整理などに携わっており、データが入ると菅家氏が操作に入る。このため『Proof Jet F1100AQ』には専任のオペレーターを置く必要がない。
 色校正の人員の平均年齢は50代。「技術の承継は大きな問題です。1人で4色が刷れるまでにかつては7年程度かかっていましたが、測色機を使うようになった今でも2、3年はかかります。デジタルといっても網点の技術は必要です。色が転んだ時の原因が分かるまでには何年もかかります」(神谷取締役)。そうしたオペレーター育成や人材不足という視点からも『Proof Jet F1100AQ』の役割は大きい。
 印刷用紙、印刷インキがそのまま使える平台校正の需要は少なくない。一方で、利便性の追求や、人材、機材の点からデジタル校正機が今後、増えていくことが予想される。神谷取締役は「平台校正からデジタル校正への移行は徐々に進むものと考えています。SCREENとやり取りしながら用紙や色のさらなる改善に向けて勉強しているところです。対応できる用紙はもっと増えていくでしょう」と、『Proof Jet F1100AQ』への可能性に期待しており、「ProofJetは、平台校正機に代われると思いますし、そう考えて導入しています」と述べる。

神谷昭夫 取締役 開発事業部 部長
山本広基
営業部 営業1課課長
門脇昭宏
製造部校正課 課長
菅家さとみ
オペレーター
大判に対応し、デジタル色校正のサービス領域を拡大
パッケージ用途など厚紙にも対応

株式会社ヤマシタ
東京都文京区小石川3-36-6
https://www.yamasita.co.jp/

株式会社SCREEN GP ジャパン
TEL 03-5621-8266
https://www.screen.co.jp/ga/

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