マツモト インクジェット印刷機から製本、ホログラム加工まで一貫生産
最新鋭のデジタル技術で”高品質アルバムといえばマツモト”を確立している株式会社マツモト(松本大輝社長)は、富士フイルムビジネスイノベーションのロールインクジェット輪転機「11000 InkjetPress」を1台、ミヤコシのロールインクジェット輪転機「MJP-20MX」を1台、B2判枚葉インクジェット印刷機「JetPress 750S」、「Jet Press 720S」の4台のインクジェット印刷機から製本、ホログラム加工までを一貫生産する。マツモトだけが持つインクジェットデジタル印刷、無線綴じ製本、ホログラム加工の仕組みをプレス部部長松原工場長の楠琢己氏から伺った。
全国7,000校の卒業アルバや記念誌、写真集、カタログ・ポスター・DM、製本、デザイン・企画・トークン、ブロックチェーンを手がける株式会社マツモトは、昭和7年に創業した。以来90年以上にわたり『卒業アルバム制作のマツモト』として全国の学校、写真館で確固たる地位を築いている。
北九市門司区に本社を構え、東京、名古屋、福岡に営業所の拠点を持ち、従業員約180人。1994年には日本証券業協会(ナスダック)市場に株式を上場。北九州市内に印刷・製本の「松原工場」、オンデマンド印刷・製本の「杜ノ木工場」、製版・印刷の「猿喰工場」、インクジェット印刷・製本の「高浜工場」の4つの生産工場を持ち、アルバム事業、一般商業印刷事業、デジタル印刷事業、ネット印刷事業、Web3.0事業を展開する。
マツモトにおいて第三の印刷と位置付けられている「インクジェット印刷」は、2016年に完成した高浜工場から始まった。
高浜工場には富士フイルムビジネスイノベーションのロールインクジェット印刷機「11000 Inkjet Press」が1台、ミヤコシのロールインクジェット輪転機「MJP-20MX」が1台、ミューラー・マルティニ社の無線綴じ機「アレグロ」、ホログラムニス加工の「ABCシステム」によりインクジェット印刷、製本、ホログラム加工まで一貫生産体制を構築している。
ロールインクジェット輪転機「MJP-20MX」は2016年にデジタル輪転機1号機として導入、2019年に「11000 InkjetPress」のデジタル輪転印刷2号機を導入した。「11000 Inkjet Press」は、最高150m/分の高速プリント(A4ページを2列配置で両面プリント、1,846ページ/分)を実現するデジタル印刷機。松原工場長の楠琢己氏は「1号機は上質紙を中心に冊子頁物、2号機はコート紙、マットコート紙を中心にアルバム、フォトブック、商業印刷を生産します。日本でロールインクジェット輪転機からLCコート加工機のインライン設備を持っているのはマツモトだけです。無線綴じ冊子は上質紙の55㎏・70㎏・90㎏、オリジナル崇高書籍用紙、オリジナル書籍用紙、書籍用紙(オペラクリーム・クリームキンマリ)、コート紙、(90㎏、110㎏)、マットコート紙(90㎏、110㎏)仕上げサイズはA5、A4、B6、(シートカットならA3サイズ)16ページから1,000ページ数の製本を半自動化しています」と述べている。
また、高い色域を持つJet Press 750S、Jet Press 720Sは、オフセット4色インキで再現することが難しいオレンジ色やバイオレット色も表現することができる。このため、RGBに近い印刷が可能で、ブライダルアルバムをはじめ、各種商業印刷で活用されている。部数は5部から200部が中心で、「インクジェット印刷から製本、ホロニス加工により付加価値を高めています」とマツモト独自の高付加価値インクジェット印刷・製本・ホログラム加工を説明する。
楠琢己工場長は「デジタル印刷は必要部数のみ印刷して損紙減と在庫レスにします。古い情報は修正して今すぐ必要な部数のみ印刷する改版負担を軽減します。短納期で色校正も可能なので、時間に余裕ができ、業務の効率化が出来ます。またデジタルと紙で情報発信のボリューム調整がしやすくなりデジタルとアナログの融合が出来るようになりました。そして弊社だけが出来るホログラム加工まで一貫生産できます。フォトブックやホログラム表面加工が入った商業印刷は紙ファイルやパンフレットなどで付加価値の高い製品を製作しています。また、印刷表面の後加工が難しいといわれるジェットプレス機での印刷物にもホロニス加工を可能にしたのも弊社が国内初です。」と述べる。
インクジェット印刷機は自然と地域の専門誌「ぎょぶる」の印刷をはじめ、サステナブルな取り組みを行っている企業からSDGsに貢献できると好評だ。インクジェット印刷に切り替えてから100部以下の単位でも再販・改版が容易になり多種多様な教材や本を、必要に応じて都度受注生産を行うことで1冊も無駄なく作成することが可能になった。実際に教材の「はたらくための日本語」では不要な在庫を抱える必要がなくなった。子どものサッカーの試合を集めた「TeamBook」や、舞台裏や集合写真などを掲載したお笑いライブの「LiveBook」は在庫を抱えないオリジナルBOOKとして高い評価を得ている。
■デジタル印刷からホログラム加工、ABCシステム・新開発のホロニス
マツモトはホログラムニス加工で独自の技術開発を行っている。海外で設計・開発し、フィルム面の柄を印刷物に転写してホログラム印刷を行う「ABCシステム」と「ホロニス」を開発した。ABCシステム(ホログラム印刷)は、印刷物の表面に光沢やマット感を出す技術(LCコート)を利用したもの。ABCシステムは、Advance(前進)/Brilliant(鮮やか)/Coating(コーティング)の3つのキーワードより“環境にやさしいマテリアルリサイクルの推進・売上に貢献するコーティングの提案”をコンセプトとしたマツモトの新しい加工システム。フィルムを貼り付ける「ラミネート加工」に対し、「フィルムの面を印刷物に転写させる」技術はパンフレットの表紙やパッケージの脱プラなどで活用され、マテリアルリサイクルにつながる。
ホロニスはスポット加工によりホログラムの表現を無限に出来る技術。ホログラムの柄を印刷物に転写させる。フィルムは使用するが、貼るのではなく、転写する方式でフィルムを何度も使用できるためコスト的に優れている。
また全面ニスからスポットニスへと加工が進化することで、同業他社では加工できない薄紙からスポット・ホログラム加工印刷が容易になり、デザインの幅が拡大した。ホロニスは高級ブランドのパッケージ、カタログ、ポスターのプロモーション、トレーディングカード、コンサートやスポーツイベントのチケット、商品ラベル、証明書などの用途が見込まれている。
マツモトの松本大輝社長は「マツモトは卒業アルバム・印刷会社としての確固たる地位を築いてきました。しかしこれからは、新技術×Web×製造の全く新しいカタチが生まれると考えています。印刷の事業基盤は引き続き強化しながらも、自社でのコンテンツを育てていくという新しい事業形態を目指します。また製造では自動化を進め、より創造力を高め新しい製造を構築する所存です」と今後の方向をコメントしている。
株式会社マツモト
本社:福岡県北九州市門司区社ノ木1-2-1
東京営業所:東京都品川区東五反田2-3-1 損保ジャパン五反田共同ビル7F
名古屋営業所:名古屋市中区栄5-28-12 名古屋若宮ビル6F
福岡営業所:福岡市博多区博多駅前4-10-13 奥村第3ビル4F
猿喰工場(製本・印刷):福岡県北九州市門司区猿喰949-1
松原工場(印刷・製本):福岡県北九州市門司区松原1-7-25
高浜工場(印刷・製本):福岡県北九州市小倉北区高浜1-6-46
社ノ木工場(製本・軽印刷):福岡県北九州市門司区社ノ木1-3-31
https://www.matsumoto-inc.co.jp/