トラスト 環境対応型カレンダーのパイオニアとして貢献したい~紙が主原料の『eco紙プラリング』『eco紙プラケース』
カーボンニュートラルな社会を目指し、印刷産業においても環境対応型の様々な製品が登場している。そうした中、名古屋に本社のある株式会社トラストでは、紙を主原材料としたオリジナルの新素材リング“紙リングシリーズ”を開発し、カレンダー製本用の留め具として提供している。同社企画営業部の田添淳一課長と、枯芝衣理氏に話を伺った。
新素材“紙プラ”を開発
カレンダーに関する受注が増加しているというトラストでは、2024年に向けたカレンダー商戦が、すでにスタートしている。同社が提供しているのは、主に卓上タイプのカレンダー。紙51%・プラスチック49%の配合でできている素材を採用した『eco紙プラリング』と、同じ素材で出来ている『eco紙プラケース』のシリーズのほか、ソフトケース(3wayシリーズ)やハードケースタイプなど、多様な卓上カレンダーを扱っている。
中でも『eco紙プラリング』と『eco紙プラケース』はオリジナルに開発した商材。『eco紙プラリング』は、5山タイプ(8.47㎜ピッチ/9.5㎜ピッチ)と3山タイプ(12.7㎜ピッチ)の留め具がラインアップされている。
『eco紙プラリング』で採用しているエコ素材は、紙とプラスチックという業界初のハイブリッド素材で、プラスチック使用量を半分以上カット。そのため分別せずに可燃ごみとして廃棄でき、バイオマスマーク認定も取得している。CO2排出量は1セット当り4gをオフセットするカーボンオフセットを実現。リングについては、機械や工具がなくても、手でワンタッチで取り付けできる手軽さで、取り付け効果が高い。簡単に外せるため、リング部分を焼却ゴミとして廃棄し、カレンダー部分はリサイクルにまわすということもできる。
『eco紙プラケース』も同様の素材で、カーボンオフセット製品であり、分別することなくそのまま可燃ゴミとして廃棄できる。一方で、プラスチックが含まれるためケースとしての強度はキープしつつ、極限までプラスチック使用量を削減した無駄のない形状となっていることも特徴。
プラスチックの特長を活かした機能として、スタンド部分の形状を工夫。それにより、カレンダーに書き込みをしたい時には倒して軽く押さえると、スタンドがスライドして倒れるので、カードを抜き取ることなく、そのまま書き込める。書き込んだ後は、そのまま自立する便利なカレンダーになっている。
紙51%・プラ49%の“紙プラ
トラストは、1991年(平成3年)に、ノベルティグッズを販売する会社として誕生した。飲みかけの缶の蓋になる「いろいろな缶にはまる缶くんキャップⅡ」やスマホを立てかける「薄型スマホスタンド」など、現在でも流通しているグッズがある。
様々なノベルティグッズを提供する中の一つの商材として、卓上カレンダーも受注していた。卓上カレンダーには、主にプラスチックケースタイプとリングタイプの2種類があるが、以前のリングタイプのカレンダーは、鉄製リングが主流だった。そうした中で登場したのが、より環境に配慮した紙製のペーパーリングである。
これを受けて、顧客先から「トラストでも紙製リングはできませんか」との問い合わせがくるようになった。しかし、社内では生産できる環境はなく、自社で設備投資をすることも難しい。当初はリング部分を仕入れて製品化したが、課題も浮上。そこで、「オリジナルの紙製リングをつくろう」という企画が立ち上がった。
卓上カレンダーは年末のかけこみ商談や、小ロットでの製造依頼が多く、これらに対応するために手で製本できることを必須条件として、サプライヤーとのOEMで独自の商材開発をスタート。完成するまでに、構想1年、カタチにするまでトライ&エラーを続け、約2年間を費やし、『eco紙プラリング』が誕生している。
今年で8シーズン目を迎え、昨年はリング単体で300万冊分納品し、印刷・加工・セットアップまで行うリング式カレンダーとしては150万冊分納品した。同じ素材を使ったケース式カレンダーは、昨年だけで30万冊分を納品。『eco紙プラリング』と『eco紙プラケース』は、同社の主力製品へと成長を遂げている。
環境対応型で手軽に採用できる
『eco紙プラリング』の大きな特徴は、環境対応型であるほか、工具を使うことなく手で簡単に取り外しができる点にある。卓上カレンダーの台紙に開ける穴も、従来の穴あけ機で対応できる幅となっているため、新しく設備する必要もなく採用が可能。リング部分を変えるだけで環境対応型のカレンダーを生産できるため、リング部分のみを発注する企業も増えつつある。
『eco紙プラケース』についても、ハガキサイズ(DMサイズ)とB6サイズの2パターンをラインナップ。“紙プラ”ならではの強度と柔軟性が特徴。ケースのみの販売も行っているので、採用企業がカレンダーの素材を変えて、独自のデザインを施したオリジナリティの高いカレンダーとして製造することも出来る。
その他に、“紙プラ”素材を使ったオリジナル商材づくりの相談にも応じている。過去には、リング1個分だけを使った小さなカレンダーや、壁掛け用の穴がポップアップ式で飛び出すタイプなども製造している。顧客のニーズから、企画を立ち上げ、新しいものづくりを行うことも得意としている。
カーボンニュートラル社会にも貢献
トラストは、カーボンニュートラルを目指す取り組み「環境」、特許取得や使いやすさにこだわる「アイデア」、独自の生産体制で急な注文にも対応できる「常時在庫」、全て国内品質で小ロットや短納期にも対応する「国内生産」が強みとなっている。最近のカーボンニュートラルへの意識の高まりとともに、環境対応型の製品への注目度は上がっており、カーボンニュートラルに取り組む企業に対して、「エコに重きをおいた商品として採用して頂ける商材です」と田添課長は語っている。
トラスト自身もカーボンオフセット、プラスチック・スマート、植物油インキの採用などでカーボンニュートラルへの取り組みを展開している。温室効果ガス排出量を実質的にゼロにするカーボンオフセットについては、約15年前から取り組みをスタート。卓上カレンダー事業については、全ての商品に対して付帯するに及んでいる。
プラスチック・スマートとしては、「ごみ削減の“4R”」を基に、プラスチックの特長を活かしつつも、素材や製造方法の研究、再利用の推進、適切な廃棄処分を行うなど、環境への負荷低減を目指した取り組みを行っている。加えて、事業所からのCO2排出の見える化も行うなど、環境負荷低減に向けた徹底した取り組みを展開している。「同業者が取り組んでいないことも先駆けて積極的に行い、パイオニアとして牽引できる存在になりたい」と展望している。
株式会社トラスト
愛知県名古屋市南区豊2-32-17
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