【page2023】主催者インタビュー ~ 新しい印刷ビジネスを始めるヒントを見つけるために印刷クライアントを連れてpageに行こう
回の「page2023」のテーマは、「創注」。開幕にあたり、JAGATの郡司秀明専務理事とpage事務局の堀 雄亮氏に、“見どころ”について話を伺った。
“創注”への戦略を探る
今回の「page2023」は「創注」をテーマに、昨年同様、リアル展示会とオンラインによるセミナー・カンファレンスのハイブリッドでの開催となる。今回のポスターは、「火」と「水」をモチーフに、“四大元素”をイメージするグラフィカルなデザインとなっており、新たな“創造”が想起される。
“創注”というテーマの底辺には、生産の効率化を実現する「DX」や、省力化・省人化による「スマートファクトリー」を実現するためにも、“仕事がなければ意味がない”という大前提を、現在の印刷業界の課題に据えたという思いがある。
「“創注”があってこそのビジネスであり、いかにビジネスを作り出していくのかについてフォーカスしていきます。その意味でも、今回は基調講演やカンファレンスでは、印刷の値付けに関したプライシングなど課題に直結するものから、SDGsとESG、問題解決型営業への変革などが盛り込まれており、展示会も含め“創注”に繋がる内容を感じて頂けると思います」と郡司氏は語っている。
1月31日の基調講演は「“無敗営業力と印刷ビジネス力で『創注』を実現!」をテーマにした2部構成。1部でベストセラー「無敗営業」の著者であるTORiXの高橋浩一氏を講師に招いた講演を、2部でその内容を受けてマーケティングサイエンスラボの本間充氏、JAGAT会長の塚田司郎氏と郡司専務理事氏の3人によるディスカッションを行う。講演で高橋氏から“無敗営業”のヒントが伝授される予定で、その後、講演内容を受けて印刷業界の新しいビジネスにいかに繋げていくか、意見が交わされる。
カンファレンス・セミナーでは、“創注”に繋がるテーマが配信される。カンファレンスで取り上げるテーマは需要創造のための体制、物価高騰や持続性に対応する経営、Web時代の印刷技術を意識した営業変革・組織変革・RGB印刷・価格設定・サスティナビリティの5つの要素で企画。中でも「価値創造時代のプライシング-印刷サービスの値付けに関する論考-」(C5)は、実際には難しいテーマではあるものの、経営を見直すきっかけとして注目されるカンファレンスとなっている。
一方、セミナーは“創注”の源である人のスキルの向上を主眼としている。ヒューマンエラーなど業務改革において定番のテーマだけでなく、新しい要素も盛り込まれている。例えば、本間氏が登壇するによる「データサイエンス入門~分析力を高め、読み解く力を身につける~」(S3)は印刷業界にとって新しい視点といえるテーマで、戦略的なデータサイエンスをベースに、事例を使った解説のほか、実際にグラフを作りながらマーケティング分析の実態を体感することができる。
「DMの提案方法と創注までのプロセス公開~なぜ経験ゼロからできたのか?」(S4)は、新市場の開拓では親和性の高いDMに関する課題と方向性を探る。この分野は印刷業界にとっても一番具体的で分かりやすいテーマである。多様な産業を顧客先に持つ印刷業界が、新たな市場開拓を考えている顧客企業に対して、マーケティング的視点での提案を行うことは、関係性を大きく変えるきっかけとなる。
セミナーではテレビ風画質の時代が始まっている一方で、データ加工のプロとしての技術にも目を向けている。印刷業界は顧客企業が持つデータの正しい扱いや、トラブルへの対策などに対し、サポート、支援できる業界であるべきである。デジタル化が進む今だからこそ、正しいデータ加工を説明し、扱えることで顧客からの信用が高まる。
写真画質についても、「“良い画質”という定義がすでに変わってきているのではないでしょうか」と指摘する。スマホが普及し、多くの人がRGBで動画や写真を見る時代になっている。それに伴い人々が求める写真再現も、スタンダードだったCMYKの時代からRGBの時代へと移りつつある。
印刷業界は、こうした変化を踏まえた色表現が求められてくる。この時、必要なのが、オフセット印刷とデジタル印刷の両方の知識だが、今後はデジタル印刷の色再現にオフセット印刷の色再現を合わせていくということが求められると予測されている。こうした再現性の変化について取り上げているのが、「RGBで実現するビビッドカラー・広色域印刷」(C2)である。テレビ画質風時代の色再現にどう取り組むのか、RGB広色域の可能性などが解説される。
今回のセミナーでは動画も取り上げる。(S5:トレンドを捉えた『動画受注と制作フロー』)。印刷業界において動画事業で高い利益を上げている企業は少ないが、「動画もやります」と受注項目に掲げている企業は増えつつあり、動画をフックに受注につなげる傾向が見られる。「動画もやります」というキャッチを掲げている企業は、顧客企業が保有する扱いにくい映像や画像データを、適切なデータへと加工し、顧客企業が求める形態に加工して納めるという作業が多い。こうした業務を取り入れることで、顧客企業に話を聞いてくれて、相談にのってくれるパートナーであるという認識を植えることができる。それが次の仕事へと繋がっている。
そのためには営業活動が大きく影響する。データ加工技術を分かりやすく説明でき、提案できるスキルが求められる。今後、事業活動を左右するのは営業担当者のノウハウやスキルで、“無敗営業”の力を付けていくことがポイントとなってくると考えらえる。
新しいビジネスのヒントを見つける
「page2023」展示会には122社(1月19日現在)が出展し、最新のシステムを通して、これからの印刷ビジネスのヒントが提供される。page展の会場は、コンパクトで来場者と出展者が交流しやすく、アクセスもしやすい。このため、会場では活発な商談が交わされるほか、会期中に出展社が様々なイベントを企画する。「出会いが多いのもpage展の特長です。ブースに立ち寄ることで情報交換をしてヒントを得て、新しいビジネスのきっかけづくりをして頂きたい」と堀氏は語る。
今回、出展社数はコロナ禍前の水準にまで戻っていないが、主力メーカーはじめ、新しい製品・サービスを出展する企業、コロナ禍により展示会出展が制限されていた企業が満を持して意気込みを見せているという。昨年11月に開催されたIGAS2022でリアルな展示会の価値が再認識されている。展示会では会場に合わせて、コンパクトなシステムの実機も展示され、具体的な商材やビジネスが提案されると見られる。
page2023の会場には今年も「印刷パートナーゾーン」が設けられる。同エリアには、株式会社メイセイプリント、株式会社オンデオマ、株式会社オスカーヤマト印刷、圧着ハガキファクトリー、亜細亜印刷、多田紙工、渡邊製本などが出展する。パートナーゾーン以外にも東洋美術印刷株式会社、株式会社研美社など昨年に引き続き印刷関連企業の出展が見られる。印刷関連企業による出展ブースでは、具体的な印刷事例やビジネスモデルが紹介され、新しいビジネスのヒントの提供やビジネス交流が期待される。
堀氏は、「会場には、是非、お客様(印刷クライアント)を連れて来場して頂きたいです。会場では、印刷加工物やビジネスモデルを見ることができるからです。印刷産業で出来ることを具体的に紹介して頂くことで、お客様と共に課題解決のヒントやビジネスのアイデアを見つけることができるのではないでしょうか。page会場で新しい印刷ビジネスが始めるきっかけづくりをして頂きたいです」と呼び掛けている。
郡司氏は、「JAGATでは、自由に働ける印刷の現場づくりや、新しい時代にマッチした印刷ビジネスの有り方など、従来型の印刷産業を超えた印刷業界のビジネスを提案していきたいと考えています。それを実現可能にするのが、デジタル印刷機やインクジェット技術をはじめとする新しい技術です。page2023で、新しい技術をベースにした、新しい印刷ビジネスを生み出すヒントを見つけて頂きたいと思っています」と語っている。