SPACE-21 全国協議会鹿児島大会で青年部の役割示す 仕事の幅を広げる昭和書体を紹介

(一社)日本グラフィックサービス工業会(ジャグラ)青年部SPACE-21(本村豪経代表幹事)は10月9日、鹿児島市のかごしま国際交流センターとオンランのハイブリット形式で「第29回SPACE-21全国協議会鹿児島大会」を開催した。

全国協議会では、㈱昭和書体の坂口茂樹代表取締役会長、坂口太樹代表取締役を講師に招き講演会を実施。多様化する顧客ニーズへの対応力を高めるべく、デザイン品質の向上や、仕事の幅を広げるツールとしての毛筆書体を紹介した。

池水孝弘実行委員長
池水孝弘実行委員長

冒頭、池水孝弘実行委員長が「鹿児島大会は本来、昨年の11月に開催を予定していたが、コロナ禍の影響で開催中止を決定し、1年のインターバルを経て今日を迎えることができた。会場で20名、リモートで80名の参加で開催できたことは、実行委員一堂にとって望外の喜びだと感じている。今回の講演会で印刷業界にとって水や空気のような当たり前の存在であるフォントを改めて見つめることは、必ず皆様の今後の大きな糧になると信じている」と述べ、開会を宣言した。

本村豪経代表幹事
本村豪経代表幹事

本村代表幹事は「コロナ禍にともない、印刷に対する価値観が大きく変化する中で、SPACE-21は様々な活動を通し、ジャグラの新たな未来の一翼を担うことができるよう努力している。鹿児島大会もその1つで、今回はハイブリッド形式という新たな全国協議会の形を見出す機会になる。今回の講演でフォントを制作する方々の想いを学ぶことは、日頃の業務に関連する知識や関係の幅を広げることにつながる。青年部が連携を取って横のつながりを広げることがゆくゆくはジャグラ全体の発展につながると感じている」と青年部の役割を強調した。

ジャグラの中村耀会長
ジャグラの中村耀会長

来賓を代表してジャグラの中村耀会長は「2年近く続くコロナ禍の影響で皆様に直接お会いできないことを寂しく感じている。ジャグラ本部では、日本自費出版文化賞の取り組みや、IT関連のセミナー開催、ジャグラDX事業など、現在の環境でやるべきことをしっかり推進しているのでご安心いただければと思う」と挨拶した。

講演会講師の昭和書体は、坂口社長の祖父・書家の綱紀栄泉氏こと坂口綱紀氏が看板会社として創業。現在は鹿児島県さつま町で昭和書体を製作・販売する毛筆書体の専門店として親子3代で経営している。

通常のフォントはデータサイズの軽減を考慮しアンカーポイントを少なくすることがほとんどだが、昭和書体は和紙に書いたにじみを表現するためにアンカーポイントを敢えて増やし字体を見ただけで、使用された商品・キャラクターの雰囲気を想起させる。その完成度の高さから、大人気アニメ「鬼滅の刃」をはじめとする多くのアニメやゲーム、テレビ番組、食品パッケージなどで採用が広がっている。

昭和書体の坂口茂樹代表取締役会長(左)と坂口太樹代表取締役
昭和書体の坂口茂樹代表取締役会長(左)と坂口太樹代表取締役

坂口会長は「近頃の看板会社では自分で書ける人が減ってしまい、一般的に使われているフォントを使用するケースが増えてきている。目にする看板やタイトルが同じような字体ばかりだと味気ない。印刷物でもそれは同じ」と毛筆フォントへの想いや効果的な活用方法について語った。

引き続き、来年2月のRrintNext2022、2023年のジャグラ文化典高知大会、2024年のジャグラ文化典広島大会のPRがあり、ジャグラ鹿児島県支部の松永英明支部長の挨拶で閉会した。

SPACE-21全国協議会 鹿児島大会 大会記念写真
SPACE-21全国協議会 鹿児島大会 大会記念写真

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