KOMORI オンラインで特別小森会世話人総会、来年設立30周年

小森コーポレーションのユーザー組織「特別小森会世話人総会」が4月14日、オンラインで開催された。

小森会はKOMORIのユーザー会として全国規模で組織され、経営・技術・その他印刷全般にわたる意見・情報の交換を通じて会員相互の親睦を深めるとともに、会員企業のさらなる繁栄を目的として活動している。その中で小森会世話人総会は、全国8ブロック会の代表世話人・企画委員・世話人の出席のもと、通常4月に開催されてきた。この2年間は新型コロナウイルスの流行の影響を受け、リアルでの開催については見送られたが、今年は小森会役員を中心に協議を重ね、安全面を考慮してオンライン形式で開催され、全国各地役員67名が出席した。

小森会の小松会長

冒頭、小森会会長の小松義彦氏は、「結成趣意書によると小森会は、『多角的な視野から事業経営に関わる周囲の情報を的確に把握し、技術開発を始め経営の効率化・合理化にたゆまぬ努力を積み重ね、業界に共通したいろいろな問題について共に模索し研究する』とある。この趣意書は今の時代も通じるものであり、小森コーポレーションの業界に対する貢献度は非常に大きい。コロナの渦中にあって厳しい経営をされている方も多いかとも思うが、異業種への挑戦、政府の助成金などを大いに活用して、ポストコロナを目指して取り組んでいっていただきたい。今後どう生き残っていくか、本当は皆様と直接お会いしてお話ししたいところだが、今の段階ではどうすることもできない。来年は30周年を祝う小森会としたい。コロナが明けるとこを信じて、皆様とともに1年間頑張ってきたいと思う」と、力強く挨拶した。

続いて行われたKOMORI基調報告では、現在の印刷産業を取り巻く環境とKOMORIの最新の事業活動、今後の事業の取り組みについて小森コーポレーション会長の小森善治氏が報告した。冒頭、先の福島県沖を震源とする地震の被災者に見舞いを述べた。また、KOMORIのサービス、工場の関係者が復旧支援を最優先としてその対応に尽力したことが報告された。

  小森会長は長引くコロナ禍やロシアのウクライナの侵攻の影響を受けて、世界的に物価上昇が起こっており、印刷に関わる資材も高騰する現状を説明。加えて、人手不足や人件費の高騰も重い経営課題で、韓国ではこの5年で最低賃金が1.5倍と急激に上昇し、政府の政策で週52時間労働規制など極端な労働環境の変化が起きていることも報告した。韓国の印刷会社ではそうした環境に対応するため、両面ワンパスの高生産機の導入を検討する傾向にあり、既設の片面機2~3台をKOMORIの両面機1台に集約するアドバンス・モデルのユーザー事例を紹介した。アドバンス・モデルについては2020年に発表して以来、世界で323台が販売されたという。

小森コーポレーションの小森会長

小森会長はKOMORIの事業構造変革にも言及。「オフセット印刷事業を中核としながらも、証印事業、PESP事業、DPS事業、その他の新規事業などを多角的に展開し、それぞれの事業間でシナジー効果を生み出すことにも期待している」と述べた。また、来年2023年に創業100周年を迎えるKOMORIは周年事業の一環として、新しい事業ビジョンを立案中で、中でもESGの優先順位を高めていることを強調した。

最後に今年11月に開催されるIGAS2022では、製造の生産性を極大化するコネクテッド・オートメーションのコンセプトのもと出展し、「ご期待いただきたい」と来場を呼び掛けた。

講演会では 『 伝統産業を継ぐということ 』をテーマに、新政酒造代表取締役社長の佐藤祐輔氏が講演。最後に、小森コーポレーション代表取締役社長の持田訓氏が、「近年パーパスという言葉が使われている。日本語でいうと存在意義だが、会社を経営するうえでパーパスが非常に重要と言われている。役割や企業の価値が考えて進めていく必要がある。会社が深い自社の事業分析、経営環境分析を経て、存在意義を共有して、事業の方向性を明確にしていくことがこの時代不可欠ではないだろうか。当社は100周年を迎えるにあたり、若い人を中心にパーパスを再定義している。“印刷技術”、“精密機械の製造技術”といった強みをこれからさらにどういう風に使って、次の100年につなげていくかを考えていく。印刷業界にお役に立てることがまだまだある。しっかり踏みしめて進んでいく。小森会は、意見を共有できる貴重な場。今後ともご指導とご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げる」と挨拶し、閉会した。

小森コーポレーションの持田社長

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