JAGAT 「リセット・ザ・フューチャー」で未来を拓く~オンライン展示会で、新しい可能性を見せる

page2021オンライン注目ポイント

写真は、前列がJAGATの郡司秀明氏、後列左から堀 雄亮氏、塚本直樹氏、小野雄一郎氏
写真は、前列がJAGATの郡司秀明氏、後列左から堀 雄亮氏、塚本直樹氏、小野雄一郎氏

公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)主催によるリアル展示会「page2021」(2月3日~5日)が、新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言をうけて中止となった。これにより当初から併催を予定していた「page2021オンライン」(2月8日~28日)のみで行われることとなった。リアル展示会における対面営業、実機のデモンストレーションなどの良さを感じることはできないが、オンライン展示会ならではの臨場感などを感じてもらえる内容で開催される予定である。JAGATに、オンライン展示会への取り組みについて聞いた。(NEWPRINET page2021オンライン特設ページはこちら

緊急事態宣言でリアル展示は中止

page2021オンラインポスター
page2021オンラインポスター

1月7日、JAGATは、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を受けて、2月3日から5日まで、池袋・サンシャインシティコンベンションセンターで開催予定だった「page2021」リアル展示会の中止を決め、オンラインイベント「page2021オンライン」のみの開催にすることを決めた。それまで3ホール・95社の規模での開催を予定していたリアル展から一変、オンライン展示会およびオンラインセミナー&カンファレンスへシフト。1988年から毎年開催を続け、今年で34回目となるpage展は、今回の緊急事態宣言の発令により、初のオンラインでの開催となる。

緊急事態宣言によるオンライン展示会へ、急遽一本化したため、出展を断念する企業も多いが、会期中は、もともとオンライン展示会を予定していた企業およびリアル展示会からオンライン展示会へシフトを図った企業や特別企画への参加を含め36社(1月29日時点)から、提案が行われる。

JAGAT 専務理事の郡司秀明氏はpage 展について、「コロナ禍における来場者数の懸念がありましたが、会場の感染対策については、昨年2月、感染懸念が急拡大する直前に開催していたことで、ある程度の心の準備ができており、万全の準備を進めていました」とそれまでの経緯を語る。加えて、「page 展は、活気のある展示会として親しまれてきました。カンファレンスも室内で、参加意欲の高い方が集まり、熱気のあるものが多く行われてきました。そうした熱気溢れるpageならではという雰囲気があり、それは大切にしたいと考えてきた一つでした」と語る。また、オンライン展示会へ一本化したことについては、「コロナ禍で開催し、クラスター発生のような大事が起きれば、大変なご迷惑にもなるこということも考えて、決断しました。34回目にしてリアル展は行えませんが、運よくオンライン展の併催を準備していたため、page展を途絶えることなく開催することができてよかったと思います」と述べている。

今回のpage展のテーマは、『リセット・ザ・フューチャー』。2020年、新型コロナウイルス感染拡大にさらされた印刷産業において、ビジネスの在り方、市場のとらえ方など、様々に変化が起きた。こうした変化は一過性のものではなく、“Afterコロナ”社会へいかに取り組むかが問われることも予測できる。

オンライン展示会で未来を語る

こうした中、今まで漫然と抱いていた未来をリセットしなければ、時代についていけない。生き残ることは難しい。という思いから『リセット・ザ・フューチャー』という言葉を導き出している。

「page2021オンライン」は、2月8日から28日まで行われ、郡司氏も「2月はまるまるpage月間となります」と表現している。リアル展示会の会場で行う予定だったJAGATプレゼンツミニセミナーとスポンサープレゼンツミニセミナーは収録して、会期中にオンラインで配信していく(無料・要登録)。2月8日からは、順次、オンラインカンファレンスが開催され、日時限定の有料ライブ配信となる。

恒例の基調講演も会期中は無料で配信される。今回は、JAGATの塚田司郎会長、同じく網野勝彦副会長、森澤彰彦副会長と、郡司専務理事の4名で「リセット・ザ・フューチャー」をテーマに語る。塚田会長、網野副会長など印刷会社の立場からも、リセット・ザ・フューチャーに取り組んでいる話が期待される。

カンファレンスで

印刷ビジネスのヒントを掴む

page2021オンラインは専用サイトから参加申込ができる。(page2021オンライントップページ)
page2021オンラインは専用サイトから参加申込ができる。(page2021オンライントップページ)

有料のオンラインカンファレンスも注目の内容が展開される。2月8日のC1「コロナで変化した世の中の新常識について語り、対策を考える」は、マーケティングサイエンスラボの本間充氏を招き、世の中で何が変わり、どのように変化しているのかについて郡司専務理事と対談する。

技術的な内容のものとして、C2「色評価用LEDガイドラインプレセミナー~日本印刷学会協力~」が2月10日のメニューに上がっている。色評価用蛍光灯の生産中止により、色評価用LEDのガイドライン策定が3月下旬に発表されることが予定されている。その発

表直前のプレセミナーとして、ガイドラインの責任者である杉山徹博士(大日本印刷)と標準化委員会委員でもある笹沼信篤氏らが、色評価用LED製品の解説や色評価の基本概念をレクチャーする。

オンラインカンファレンスの最後を飾るのは、2月26日配信の「コロナ後の印刷業界をうらない『未来をどのようにリセットするか?』を考える」で、フュージョンの花井秀勝会長が登壇。印刷会社にとって必要といわれているマーケティングをどこまで取り組めるのか、印刷だけのビジネスでは本当にだめなのかなど、未来の印刷業について語る内容となっている。

印刷ビジネスをめぐる環境は、コロナ禍を迎えたことで、ますますデジタル化へと動いている。印刷の現場においても、また市場においても、デジタル技術をどのように活用していくかが、生き残り戦略に大きくかかわってくる。その実態として、印刷会社全体の仕事量として3対2で従来型のアナログの仕事が多くても、利益額ではデジタル印刷が6割以上を占めるという企業も登場している。これまでデジタル印刷は儲からないという言われ方がされてきたが、市場規模が縮小し、多様化が進む市場において、付加価値を上げる手段としてデジタル印刷の選択がある。

何よりもデジタル印刷は、スピードとバリアブルという付加価値はアナログ印刷にはないものとして威力を発揮する。スピードとは、必要とするとき、すぐに印刷物が作成できる。そして、バリアブル対応できることで1部でも、1人ずつ異なる印刷物を作るなど、柔軟なその場のニーズに対応できる。そして課題だといわれてきた品質についても、デジタル印刷機の性能が向上しており、特に画像品質に関しては良いものが生産できる。こうしたことも踏まえて、今後は、デジタルを活用しなければ儲けを得ることは難しくなっていくと思われる。

一方、オンライン展示会には、計34社が出展(1月28日時点、特別企画出展2社除く)し、様々な最新の提案が行われる。現在は、「抗菌・抗ウイルス印刷」に関するブース開設が決まっており、最近注目度が上がっている抗菌印刷・抗ウイルス印刷に関する最新の情報が発信される予定である。

いつでも・どこからでも参加できるpage2021

郡司氏は、オンラインイベントは、主催者側にとってイベントを開催すること自体、課題が多いと分析している。リアル展示には対面営業や実機を見せることができるといったリアルならではのメリットがある。一方、オンラインの場合、開催までの作業にリアルよりも約6倍の労力が掛かるが、利益につなげることが難しいなどの課題が残っている。そのため、次のアクションへ繋げるための方策やルールづくりが必要になるとされており、今回の経験を一つのステップとして生かしていきたいと考えている。

JAGATでは、page2021のテーマ「リセット・ザ・フューチャー」を、2021年のテーマとして1年間、掲げていく予定。今後も様々なイベントへ反映させていく予定である。

オンライン展示会の登録はすでにスタート。リアルに会って、対話する機会を失ったが、遠方の人、時間の都合がつかず、これまで来場できなかった人も、気軽に参加できる新しい機会になることが期待されている。

「セミナーなども従来のpageよりも参加しやすくなっております。多くの人のご参加をお待ちしています。特に、急遽決まったゾーンとして『コロナ対策ゾーン』があり、抗ウイルスル印刷物やアイテム等、印刷業界ならではのソリューションを揃える予定ですので、ご期待ください」と参加を呼びかけている。

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