能登印刷 独自のコンテンツソリューションで顧客と社会の未来をつくる

“情報価値プロデュース企業”として地域を支える

印刷会社の本質的な役割とは何か?企業・経営者により考え方は違うだろうが、どの印刷 会社にもいえるのは、印刷需要や市場の縮小傾向が止まらない今日の状況において、自社の本質的な役割をしっかりと捉えて事業を展開する必要があるということだ。

能登印刷株式会社では自社の企業ドメインを、顧客企業の付加価値向上・課題解決・見込客創出までサポートとし、地域社会・経済を力強く支える存在として輝きを放っている。

代表取締役社長 能登 健太朗氏

同社は、1913年に活版印刷業として創業し、長らくページ物・出版印刷を主としてきた。時は流れて1970年代になり、競合会社との差別化の一つとして、印刷物の中身であるコンテンツ制作や編集作業にも業務を拡大。この頃から「価値ある情報を発信する」ことを本質的役割とする同社の企業風土が醸成され始める。さらに時が進んでインターネットやデジタルメディアが隆盛するようになると、印刷だけに固執することなくデジタルソリューション力を身に付けていった。現在は、自社で制作・発行するメディアによる情報発信活動、デジタルソリューション力を駆使した顧客企業の営業サポート、製品の企画から納品までのワンストップサービスなど、多角的なアプローチで顧客企業のさまざまな情報を付加価値とする活動をしている。

「顧客の強みや想いも我々が引き受けて、マーケティング活動からデジタルトランスフォーメーションまでを支援し、その顧客の企業価値を高めて未来を創造する。これが、当社が目指している“情報価値プロデュース企業”の形だ」と能登社長は語る。一例として 同社が展開するEC事業では、大手ショッピングサイトでのネット販売に関する登録・販売・受注・代金回収・在庫管理まで全てを同社が代行することで、顧客企業の運営に関する手間と時間を削減。さらに、そのサービスを低廉な価格で提供することで、ノウハウを持たない中小規模の会社でも大手ショッピングサイトに気軽に出店でき、かつ採算も取りやすいようにし、顧客の課題解決と地元経済の活性化に貢献している。

高級印刷物を求める顧客層にRMGT 10で応える

同社ではさらなる新たな取り組みとして、美術館や博物館、埋蔵文化財とその観者をつないで美術体験の最大化を図るプラットフォームを立ち上げていく。この取り組みは、同社が元々美術館や博物館、自治体、大学などからカタログ印刷などの受注をしてきたことがきっかけとなっている。高細線での高い再現力が求められる仕事を通して培ってきた印刷品質やクリエイティブの強みを生かし、美術館・博物館などの情報発信をサポート。

さらに、ここで培った技術力をアパレル業をはじめとした本当に高い品質の印刷物を求める顧客に向けて提供していく体制にすることを見通している。そのような高級印刷物の製作を同社で担っているのが、2019年9月に導入した菊全判両面専用(タンデムパーフェクター)LED-UV 8 色印刷機「RMGT 1020V1TP-8 LED-UV」(=以下、RMGT 10)だ。

主力生産機として稼働するRMGT 10

あらゆる条件を踏まえた綿密な試算で導入効果を検証

同社ではRMGT 10のほか、菊全判片面4色印刷機、A全判片面4色高感度UV印刷機、菊全判両面兼用2色印刷機2台の計5台が稼働。このRMGT 10は、水なし印刷専用機として稼働させていた菊全判両面印刷機との入れ替えで導入した。その水なし印刷専用機は、稼働開始から10数年で修理コストやランニングコストの負担が大きくなっていたという。「入れ替えをする検討段階で、印刷機の初期投資額だけでなく、導入したことによる採算性について原材料費、光熱費、人件費、減価償却費、生産性、他の印刷機の稼働率の変化など、あらゆる条件の増減を漏らすことなく踏まえて綿密な試算をした。入れ替えるべきか否か、入れ替えるならばどの機種・どのようなオプションを搭載すると利益が最大化するかを調査し、このRMGT 10を選んだ」と村井部長は導入を決めた経緯を振り返る。

また、能登社長も「試算を通してわかったのは、単に初期投資額を安くするために自動化オプションを削るのは得策ではないということだ。それを削ぐことは、10年以上にもわたるであろう印刷機のライフタイム全体において生産性を落とし続けることになる。当社の仕事内容や条件を踏まえると、オプションをフル搭載することが結果的に利益の最大化につながる」と評価する。

メディア事業部 製造部 部長 村井 繁夫 氏

稼働開始後、従来機比で1.5倍の利益創出を実現

実際にRMGT 10の稼働を開始すると、その試算が机上の空論ではなかったことが証明される。A能率は以前の印刷機と比べて約160%となり、すべてのコストなども踏まえた1台あたりの創出利益についても150%に達している。ジョブ替え時間についても、全自動同時刷版交換装置によってこれまでの1/8の時間で刷版交換ができることもあり、目標としていた15分をほぼ達成できた。また想定外の効果として、LED-UV印刷の即乾性が後工程の待ち時間削減・生産性向上に寄与し、製本部門での付加価値創出にもつながっている。

現在、水なし印刷については主に菊全判4色印刷機で行い、RMGT 10は高級印刷物の製作も含めた主力生産機として躍動している。「高い印刷品質に加え、LED-UV印刷によってインキカスによるゴミ付きやコスレもなくなり、さらに品質検査装置の高精度なチェック機能と、高級印刷物を生産する体制が整った」(村井部長)。

そして最後に、能登社長は「顧客の課題や最終目的は“良い印刷物を作ること”ではないが、価値ある情報を発信するための一つの要素として高い品質の製品を納めることは大切なことだ。RMGT 10を中心とした印刷技術も活用し、顧客の付加価値を高める総合的な価値提供を行っていきたい」と改めて同社の本質的な役割を表した。

能登印刷株式会社

https://www.notoinsatu.co.jp/

本社:石川県金沢市武蔵町7-10 TEL 076-274-0084

営業所:東京、富山、大阪

創業:1913年(大正2年)

代表取締役社長:能登 健太朗 氏

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