博伸社 菊全ジャスト機RMGT 970を導入、内覧会で可変印字商品券3,000枚仕上げを1時間弱で実演
博伸社(東京都江東区/牧野佑介社長)は10月4日、本社・工場でリョービMHIグラフィックテクノロジー(RMGT)の協力を得て、今年5月に導入した菊全判オフセット5色印刷機『RMGT 970ST‐5+LED-UV+PQS‐D(I+C+R)』の実機内覧会を開催した。
博伸社は1948年に製本業として創業。現在は従業員36名の体制で、主に抽選券・抽選補助券・スクラッチカードをはじめ、可変印刷や情報セキュリティが求められる印刷需要に応えている。先代社長の牧野伸充氏(故人)がナンバリングやインクジェットなどの設備を整え、現在の業態を確立。牧野佑介現社長は先代の理念である「機械設備、工程管理、作業環境を人が合理的かつ効率的に運用できる仕組みにすべき」を引き継ぎ、市場の要求に一層応えようとしている。
今回のRMGT 970の導入はその一環。内覧会で牧野社長は「お客様からの要望で仕上げ工程にカメラ検査装置を導入していたが、既存の印刷機には搭載していなかった。刷り本支給も増加傾向にあり、印字・仕上げへの事業転換を検討していた」と、既設のB2判6色機による印刷ニーズへの対応が難しくなったことから印刷事業から撤退し、可変追い刷りと仕上げに事業の集中を考えていた。しかし、「ワンストップでサービスを提供することが好ましいと考え、印刷能力を向上させて需要に応えるために菊全機の導入を決断した。その結果、ワンストップ体制が強化され、作業スピードが向上し、印刷、印字、仕上げまでの品質保証体制が確立した。社内で品質管理の部門も立ち上げ、お客様に安全、高品質、かつスピーディーに納品することが可能になった」と菊全機導入の経緯を説明。さらに「今注目されているライメックスに着目し、印刷検証を始めた。要望があった際には速やかに対応できるよう準備を進めている」と新素材への挑戦を明らかにした。
同社が導入したRMGT 970は5胴仕立てで、LED‐UV乾燥装置を搭載。また、給紙部にピンポイントで印刷欠陥の箇所が特定できるナンバリング装置を備えるとともに、排紙部前に印刷管理システム『PQS‐D(I+C+R)』が装備されている。
RMGT 970は用紙サイズが菊全ジャストで刷版コストを削減するとともに、コンパクトに設計されている。同社ではB2判6色機の設置スペースに収まった。LED‐UVによる即乾のため、オペレーターの抜き取り時に、余白に配置したカラーバーやパッチなどのアクセサリに手が触れて汚れることがない。
印刷管理システム『PQS‐D(I+C+R)』は高性能CCDカメラにより用紙を抜き取らずにインラインで全数を検査。加えて紙面の濃度を追従して、印刷機が目標濃度に向けて自動でインキキーをコントロールするほか、刷り出し前にも見当調整機能により自動で見当を合わせる。給紙部には用紙に合わせてエアー量をプリセットするエアープリセットも備えるなど、高度に自動化された印刷機となっている。
同社ではインクジェットによる追い刷りが前提のため、パウダーが不要となるLED‐UVが必須。加えて白や特色の印刷に対応するために、排紙部のほかに、1胴目・2胴目の間、4胴目・5胴目の間にもLED‐UV乾燥装置を置くことができる。
実演では30面付のプレミアム商品券のサンプルを100枚印刷。予め汚れを付けた用紙を用意して検査装置の精度を確認した。その後、600dpi、4.16インチ6台のインクジェットによりナンバーとバーコードを高速で追い刷り。員数検査後、断裁までの工程を披露した。
同社ではインクジェット3ラインにより、1日で上質紙であれば菊全紙で2万5,000ロットの可変印字が可能。今回の実演では、RMGT 970により1時間弱で3,000枚の商品券の仕上げが可能なことを証明した。