IGAS2015で何を見るか

IGAS2015国際総合印刷機材展が9月11日から16日までの6日間に渡り、東京・有明の東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催される。今回のテーマは「Print+innovationプリントテクノロジーのさらなる挑戦!」。イノベーションを起こすための最新技術とソリューションがグローバルな視点で示される。

前回、IGASが開催された4年前と比べて、印刷産業を取り巻く環境はどう変わったか。2011年は印刷需要の構造的な変化が具現化された頃といえるだろう。その兆候は世界規模で現れ、特に先進国の印刷産業に大きな影響を与えている。情報伝達手段のデジタルシフトが鮮明になり、商業印刷、出版印刷、事務系印刷の印刷需要の低迷が本格化した。加えて単価下落と多品種・小ロット化による生産性の低下は印刷会社の利益を圧迫していった。

4年前と比べ、実際のところ印刷産業が置かれた環境はほとんど変わっていない。IGAS2015では突き付けられている明白な課題に対し、出展各社から様々なソリューションが示される。印刷会社にはそれらをどう取り込むかが問われてくる。各社各様の切り口があるだろうが、今回のIGAS2015の視点として、①プロセスの自動化、②後工程の取り込み、③印刷の機能性の訴求の3点を挙げてみたい。

「プロセスの自動化」は、多品種・小ロット化で煩雑化した現場の作業や管理業務を円滑にする。装置そのものの生産性の向上に加え、工程間で必要とされる作業指示等の情報の生成・受け渡し、プリプレス業務の面付けやカラーマネジメント、営業業務の顧客情報管理や見積り、Web to Printによる受注の無人化など、生産プロセス、ビジネスプロセスで効率化できる部分はまだ残されている。MIS(経営情報システム)やワークフローシステムのITと、装置との連携はIGAS2015のポイントとなる。

また、「後工程の取り込み」は、折りや断裁、製品に限らず、抜きやミシン、箔、エンボス、光沢など、加工のバリエーションを持つことである。小ロットの印刷物は後加工に出しにくい。専門業者が敬遠しがちで、かつ運送費がかかる。初期導入コストが低く、専任者を置かずに操作できる後加工機器を揃えることは単価が低い小ロット物を受注し、利益を出していくために必須となる。

「印刷の機能性の訴求」は印刷物を単に受注して納品するだけで終わらず、印刷物が利用されるケースを想像し、顧客に「物品」ではなく「機能」を提供していくことである。バリアブル印刷によるマーケティング、小口分割印刷による在庫レスなど、印刷物から発生する効果が顧客に認められれば価格の競争に陥りにくい。そうした観点からデジタル印刷機は有効な手段となる。

この3点に加え、多くの製造業が着手しようとしている「もののインターネット」の波がIGAS2015でも見られるかもしれない。また、ビッグデータとセンシング技術は印刷産業も今後、積極的に取り込む必要があり、そうしたソリューションを探すのもIGAS2015の視察方法の一つだろう。

IGASは、drupaと同様に次回から4年周期から3年周期に変わる。機材展そのものの変革が進む中、IGASの魅力は世界有数の印刷関連ベンダーが揃う日本で開催されることだろう。他のアジア諸国の機材展と一味違うところが示せるかも注目されるところである。

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