IDTechEx社 RFID市場見通し報告、世界のRFID市場は2022年に122億ドルに成長
DTechEx社は、テクノリジーアナリストの Dr.Yu-Han Changの調査記事「RFID:2021年の動向と今後の展開」を発表している。
それによると、2020年の世界のRFID市場はCOVID-19の影響で2019年に比べて5%減少したものの、2021年には順調に回復している。またIDTechExの新しいRFID市場調査レポート『RFID市場_見通し、有力企業およびビジネスチャンス 2022-2032年』では、世界のRFID市場は2021年に116億ドル、2022年に122億ドルになると予測されている。この市場はRFIDラベル、カード、フォブ(キーホルダー)などのフォームファクタだけでなく、パッシブ型とアクティブ型の両方のRFIDに対応するタグ、リーダー、ソフトウェア/サービスなどで構成されている。
「RFID:2021年の動向と今後の展開」から
新型コロナウイルスは私たちの生活のさまざまな側面に悪影響を及ぼしてきました。しかしデジタルへの移行を加速させるものでもあります。
例えばUHF帯のセクターにおいて、IDTechExはアパレル小売業界に注目してきました。この業界はタグの数量から見てRFIDを最も多く利用している分野であり、RFIDの導入が急速に進んでいます。IDTechExの調べではアパレル小売業界だけでも2022年には200億個を超えるRFIDラベルが必要になります。
とはいえまだまだ道のりは長く、2022年にRFIDが占める割合はアパレルで獲得可能な市場全体の26%程度にすぎません。アパレル小売業界での成功をよそに勢いを増している業界は他にも多くあります。フットウェア、化粧品、香料、電子機器、サプライチェーン&ロジスティクスといったアパレル以外の小売セクターだけでなく、クイックサービスレストラン(QSR)といった食品業界にも確実に関心と投資が集まっています。
HF帯のセクターでは非接触型カードの売上が依然として最大であり、非接触型決済や輸送、入退室管理などの用途が主な推進要因となっています。2021年には26億枚のカード需要がありました。
IDTechExでは、この傾向は短・中期的に続くと予測しています。LF帯のセクターでは動物(豚、子羊、ペットなど)へのタグ付けの用途が引き続き多くのシェアを占めています。これはタグ付けの法的義務化を進める地域が増え続けていることによるもので、2021年には6億4,000万個のタグがこのセクターで使用されています。
IDTechExの調査レポート『RFID市場_見通し、有力企業およびビジネスチャンス 2022-2032年』では、2021年のパッシブ型RFIDタグの売上総数は284億個で2020年の238億個から、2桁の成長を遂げることになると予測しています。拡大の主な要因は、パッシブ型のUHF帯RFIDラベルです。
しかしながら2021年では、UHF帯(RAIN RFID)タグの売上額はHF帯タグの売上(NFCを含む)の30%に留まる見込みです。これは商品のタグ付け用UHF帯(RAIN)タグが安価で大半が使い捨てであることに対して、セキュリティ(決済、入退室など)用途のHF帯タグの価格が高いことに起因しています。
RFID業界は拡大を続けていますが、特定の市場では克服すべき障害が残っています。当面はチップ不足が問題となるでしょう。チップ不足により需要に対して供給が不足し、結果として価格上昇が見え始めています。
一方、中長期的にRFIDの普及を実現するためには、「教育」と「標準化」が重要な課題となります。企業に対し、RFIDの機能(その利点や制約を含む)や、RFID導入により業務の効率化を進める方法を啓蒙することは重要です。
RFID導入の標準化という観点からは、例えば製薬業界と食品業界の2つの業界においては「個品タグ」に大きな市場機会が見い出せます。ただし、政府による義務化が進まなければ実現の可能性は低いと言えます。
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IDTechExは20年に渡りRFID市場を調査してきました。 RFID市場を対象とした調査レポートの最新版『RFID市場_見通し、有力企業およびビジネスチャンス 2022-2032年』では包括的な調査結果を提供しています。
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