IDTechEx社 スマート皮膚パッチの商業化に関するもっとも包括的な評価を報告
IDTechEx社は、調査レポート「電子皮膚パッチ 2021-2031年」を発表している。それによると、2021年にはこの分野の年間売上高が100億ドルに達すると予測している。また同調査では、COVID-19パンデミックの影響を捉え、2020年から2021年にかけての各セクターの影響と、関連製品セクターの広範な新しいトレンドに対する全体的な影響をカバーしている。
IDTechEx社では、ウェアラブルと医療機器に関する広範な調査活動の一環として、過去10年以上にわたってこのテーマを取り上げてきたが、同レポートでは主な関連市場セクターを各章に分けて考察している。
糖尿病の管理は、主にCGM(持続血糖モニタリング)によって、最大かつ最も成功しているセクターとなっているが、インスリン放出用のパッチ式ポンプの採用が増え、クローズドループシステムへの動きが見られる。心血管モニタリングも、年間数十億ドルの収益を生み出しているが、参入企業、製品トレンド、地域性の点で、はるかに細分化が進んでいる。
皮膚パッチによる心血管モニタリングを中心とする用途から、入院患者と外来患者の両方を対象とする、より一般的な患者モニタリング用途へと広がりつつある。この他、温度ベースのモニタリング(発熱モニタリング、受胎能モニタリング)、電気刺激装置、イオン導入などの患者モニタリング装置などのセクターも、それぞれ競争環境が異なり、固有の成長ドライバーがあるなど、それぞれに特色がある。
新型コロナウイルス感染症の影響に関して、IDTechEx社のプリンシパルアナリストで同レポートの主執筆者である James Hayward(ジェームズ・ヘイワード)氏は、「他の分野で見られるような持続的な悪影響ではなく、新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、この市場の発展を支えている多くのキートレンドの加速をもたらしました。遠隔医療の広がり、遠隔患者モニタリングの促進要因の増加、デジタル患者管理ソリューションの本格的な導入といったトレンドについては、過去にも取り上げましたが、それぞれに加速が見られ、私たちの当初の予測よりも2年前倒しで導入が進んでいます」と述べている。
このレポート では、変化の背景にある要因についても詳しく説明している。
最初のロックダウンでは「必要のない」医師の診察が延期されたため、多くの分野で大きなマイナスの影響が出た。しかし、多くの企業がニーズに応えるべく、より遠隔医療をベースにしたサービスへと迅速にシフトした。また、規制上の障壁が低くなったことで、多くの製品が緊急承認を受け、通常よりも短期間で商品化し展開できるようになった。
この動きはその後、デジタルシステムを利用した総合的な遠隔患者モニタリング・管理システムの実現により強い意欲を持つ大企業にまで広がり、一定の開発期間を経て、そのペースが加速。多くの製品の上市やリリースが見られるようになっている。
電子皮膚パッチは極めて多様なカテゴリーである。このことは皮膚パッチが関連する市場ごとに、成長ドライバーや規制状況、基調となるトレンドが異なることを意味している。
例えば、パンデミック対応のための財源が手当てされたことを受けて、米国では、2020年と2021年のモバイル心臓テレメトリデバイスに対する還付額(診療報酬)が大幅に改訂され、特定の種類の製品の利益率と見通しが劇的に変化した。
同レポートでは、このような変化について、一般的な議論と、特定の企業に関する反応と影響の両面から詳しく解説している。製品セクターごとに、成長ドライバー、競争環境、見通しは大きく異なっており、皮膚パッチをベースとした製品の状況は、それぞれに極めて独自性の強いものになっている。
なおIDTechExでは、電子皮膚パッチを含むさまざま ウエアラブルテクノロジー に関する調査レポートを発行している。