IDTechEx 調査レポート「エレクトロニクス製造はデジタル時代の仲間入りができるか?」を発表
IDTechEx 社は、調査レポート「エレクトロニクス製造はデジタル時代の仲間入りができるか?」を発表した。
エレクトロニクスは「デジタル技術」かと問われれば、ほぼ全員が肯定的に答えるだろうが、プリント基板(PCB)はデジタル技術を可能にする一方で、その製造工程にてはまだアナログ的な部分が多い。
従来のプリント基板製造はアナログな製造方法を採用しており、フォトリソグラフィーで使用するマスクに目的のパターンを転写した後に、パターン形成されたレジストで覆われていない部分(通常はPCB上の銅箔)をエッチング液で除去することで作っている。この製造法自体は効率的で歩留まりの高い生産が可能ではあるが、デジタルマニュファクチャリングを導入することによって、さらに高い生産性を生むことができる。
デジタル・エレクトロニクス・マニュファクチャリングはなぜ必要なのか?
デジタルの最大のメリットは、アナログと比較して、セットアップの手間やコストがかからず、一点一点異なるものを作れることである。そのため、大量生産される新聞にはオフセット印刷が使われるのに対し、家庭用には1部しか印刷しないインクジェットプリンター(デジタル)が使われている。
エレクトロニクスは、デジタルマニュファクチャリングによってラピッドプロトタイピングが可能になり、設計プロセスを加速させることができる。
マスカスタマイゼーションも容易で、生産コストを大幅に上げることなく、回路ごとに異なる設計を行うことができ、さらに、高解像度のデジタルマニュファクチャリングは、従来のフォトリソグラフィと併用することで、回路が断線してしまっても修復が可能になっている。
エレクトロニクスのためのデジタルマニュファクチャリング
エレクトロニクスのデジタルマニュファクチャリングへの関心は、ここ数年急速に高まっている。
インクジェット印刷は、導電性インクをデジタル技術で成膜する技術で最も一般的な手法だが、デジタルとアディティブの両方を兼ね備えたさまざまな技術が登場している。それらの技術はすべてデジタルマニュファクチャリングによって直接制御するもので、処理能力、解像度、材料粘度など、それぞれ大きく異なっている。
結論
IDTechEx社は、上記の事を踏まえて、カスタマイズ性の向上、製品開発サイクルの短縮、2.5D/3Dエレクトロニクスの需要などを背景に、デジタルエレクトロニクス製造はさらに普及すると予測している。
IDTechExの調査レポート『プリンテッド・エレクトロニクス製造 2023-2033年』では、20年間の取材を基に、プリンテッドエレクトロニクスとフレキシブルエレクトロニクスに関する技術やロールツーロール製造などの多くの技術を調査している。