FFGS “ポツ汚れ”の仕組みを解明、印刷学会論文賞受賞~新聞用完全無処理版も研究発表奨励賞
富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(FFGS)は、一般社団法人日本印刷学会の平成28年度表彰で、「平版印刷版上で発生するポツ汚れ発生機構に関する研究」に関して「論文賞」を、「新聞用完全無処理サーマルCTPプレートの開発」に関して「研究発表奨励賞」を、それぞれ受賞した。2月19日に東京・中央区の日本印刷会館で開催された日本印刷学会通常総会で表彰式が行なわれ、受賞者に賞状と盾が授与された。
日本印刷学会「論文賞」は、印刷に関する学術・技術の研究で、とくに優れた論文・総説の著者に対して贈られるもの。同賞を受賞した「平版印刷版上で発生するポツ汚れ発生機構に関する研究」は、オフセット印刷で、印刷機を一時停止し再始動した際に紙面に付着することがある“点状の汚れ”の発生メカニズムを研究したもの。刷版の断面形状をミクロレベルで観察するとともに、電気化学的解析手法を用いることで、水道水などを湿し水に使用した場合に混入する塩化物イオンなどが、プレートのアルミニウム素地を溶解させ、酸化重合型インキの乾燥反応を促進することによって、“ポツ汚れ”が発生することを明らかにした。これまで原因がわからなかった“ポツ汚れ”の発生の仕組みを初めて科学的に解明し、その解決に役立つ有益な情報を含んだ論文であった点が高く評価された。
また、研究目的の明確さ、研究の意義・進め方・成果などの点で、とくに優れたものに対して贈られる「研究開発奨励賞」を受賞した「新聞用完全無処理サーマルCTPプレートの開発」は、現在『SUPERIA ZN』として実用化されている技術の開発研究。同研究では、感光層の重合反応効率化による耐刷性向上、支持体最表面のマイクロポア精密制御による感光層と支持体の密着性向上、エッジ部の高精度曲面加工技術と親水化コーティング技術の融合によるエッジ汚れの防止を刷版上ですべて実現。環境に配慮した印刷技術の推進に貢献した点が高く評価され、今回の受賞となった。
【「論文賞」受賞者】
▽富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ 開発センター
工藤 康太郎氏
澤田 宏和氏
難波 優介氏
▽富士フイルム 解析技術センター
田中 秀明氏
【「研究発表奨励賞」受賞者】
富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ 開発センター
嶋中 修知氏
光本 知由氏
西川 博史氏
園川 浩二氏
福田 翼氏
森 崇徳氏