FFGS業績発表、パッケージ・デジタル印刷伸長
富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ㈱(FFGS)は6月30日、東京都西麻布の本社で2014年度の業績を発表した。富士フイルムホールディングス内のグラフィックシステム事業の連結売上高は2,840億円で前年度1.4%増。また、席上、6月29日付で真茅久則氏が社長に就任したことを明らかにした。発表会には同社の吉田整会長、渥美守弘副会長、真茅久則社長、公盛茂経営企画本部本部長が出席し、2014年の概況と取り組みについて説明した。
前期の富士フイルムホールディングスの連結売上高は2兆4,926億円。このうちグラフィックシステム事業は2,840億円で、富士ゼロックスを除き、グループ内事業で最大の売上高を占めている。
事業別ではCTP等の「製版・刷版ビジネス」は欧州の若干の市場の冷え込みと単価の下落で前年比99%と微減だった。一方、B2判インクジェット印刷機のJetPressやインク等の「デジタルプリンティングビジネス」が伸長し、同105%の伸びを示すとともに、「パッケージビジネス」が同200%を達成した。
エリア別では欧州市場が冷え込んだが、新興国を中心に東南アジア、アフリカ、南米の市場が伸長し、売上高構成比が25%強(同111%)。北米も順調で売上高構成比が20%強(同107%)と成長した。
重点事業の「製版・刷版ビジネス」は製版材料の総需減少トレンドが緩やかになり、微減で推移した。刷版材料は国内で前年の消費増税の駆け込み需要の反動で若干減少した。北米は大手ユーザーの切り替えを着実に進めて増販。厳しい欧州に比べ、中東、アフリカの周辺地域への活動が進んだ。
刷版事業の新たな取り組みとしては今年、省・材料、省・工数、省・エネルギー、省・排出、省・ウォーターの5つの省資源をキーワードに「SUPERIA」ブランドを発表。具体的な商品として完全無処理CTPプレート「SUPERIA ZP」、印刷関連薬品「SUPERIA PRESSMAX」を発表し、新聞用無処理プレートの発売を予定している。
注力している「パッケージビジネス」は、2014年、水現像のフレキソ版、DLE版を商品化。ワールドワイドでパッケージ事業部を設置し、北米、欧州、新興国への展開を開始した。国内ではウインドミュラー&ヘルシャー社のフレキソ印刷機、CI機の大型案件の販売が進んだ。また、軟包装印刷用の「低臭気UVインクジェット技術」を実用化し、富士特殊紙業と共同発表。窒素パージ技術でUVインクの低臭化を実現し、軟包装、パッケージに向けた新しいシステムとして周知していく。彫刻型フレキソ製版システム「FLENEX DLE System」の世界1号機は金羊社に導入され、稼動が始まった。
「デジタルプリンティングビジネス」はワイドフォーマットのインクジェットを中心に展開。大型機器、中型機器の販売を継続し、確実に数量を伸ばしている。この分野では「Jet Press S」がワールドワイドで着実に伸長。富士フイルムディマックス社のヘッドやインクを用いたアドバンス・マーキング事業はセラミックやテキスタイルマーケット向けが好調で全体の売上を支えた。機器の販売数量の増加に伴い、インクも堅調に推移した。
「Jet Press S」のアプリケーションとしては校正分野、アルバム分野に導入が進んできたが、最近ではWeb to Print業者も導入し始めている。また、今年7月にはタイにワイドフォーマットのデモセンターを開設した。大型機器も含めて積極的なプロモーション活動を展開。東南アジア発の大型インクジェット機の「Onset R40i」がタイのサイン印刷大手のInspire Image社に導入された。
海外展開については、昨年10月、南アフリカ・ヨハネスブルグのギャラガー・コンベンションセンターでオープンハウスを開催するなど、FFGSのブランド周知を積極的に展開。中国では年末から印刷業者を含めて環境規制が厳しくなるとの見通しから、プリントチャイナで環境対応をPRしたほか、中国印刷技術協会とともに、モンゴルでの植樹イベントを実施した。また、今年4月末には、パッケージ分野で各国を代表する企業で構成するIPG(インターナショナル・パッケージング・グループ)の15ヵ国30名以上が、FFGSのパッケージ関連のショールーム「FFGS WING CITY ashigara」を見学している。
その他、ワークフローシステムの「XMF」が全世界で5,100台を突破。5,000台目は北米の印刷会社に導入されている。RIPコアにアドビ社のマーキュリーアーキテクチャを採用し、並列処理により生産性が向上した。
業績を発表した真茅社長は、今後の課題として①SUPERIA戦略による刷版事業の再構築、及び事業の更なる成長、②パッケージ事業(FLENEX)の伸長、③デジタルプリンティング機器の販売台数増加、及びインクビジネスの拡大、④ソフトビジネス(XMF)の拡大を挙げ、いずれの分野でも前年比増の目標を掲げた。重点エリアには先進国を押さえつつ、中東、アジア、パシフィック、アフリカ、南米の新興地域を挙げた。