泰清紙器製作所 細かなニーズへの真摯な対応で一番に相談される会社へ
顧客の選択肢を広げるRICOH Pro C7200S
高級感が求められる貼箱を中心に企画から製造まで一貫して製作している泰清紙器製作所(大木啓稔社長)は、和菓子・洋菓子などの食品関連会社や、出版・印刷会社などに付加価値の高い紙器を提供している。2020年12月には、RICOH Pro C7200Sを導入し、ゴールド、シルバートナーを活用したワンストップのメタリック表現を実現。同社の強みである顧客への提案力の幅を広げた。
泰清紙器製作所は1965年、大木啓稔社長の父・大木清治氏が手作業で貼箱を製作する個人事業所として東京都練馬区で創業した。その後、箱製作の各種設備を導入し、法人化を経て業務を拡大。大木社長が入社した1987年の翌年には、世の中がバブル景気に沸く一方で、昭和天皇が倒れたことから約2年にわたる自粛ムードに入った。同社が当時主力としていた結婚式の引き出物などのイベント関連の受注は大きく影響を受け、業態・営業方針の転換が迫られた。
大木社長は、『仕事は集まるもの』という営業方針から、5年、10年後の会社の在り方を見据えたストーリーづくりを構想し、人材の採用を開始。1994年には大木社長の弟・現専務の大木隆寛氏が入社し、本格的に営業に力を入れ始めた。2007年には社長に就任し、それまで現場の監督役であった観点から、誰でも同等のパフォーマンスが発揮できるよう、紙器製造の機械化に乗り出した。
2009年に東京都板橋区に工場を移転し、2011年の東日本大震災時を機に、工場内管理体制の変革や企業理念の明確化に着手。設備増強に伴い、埼玉県戸田市に事業所・工場を移転し、現在は、断裁機、打ち抜き機2台、箔押し機2台、貼箱製造機の手作業1ライン・半自動1ライン・全自動2ラインなどを取り揃える。また、補助金を活用して大判UVインクジェットプリンターやカッティングプロッター、レーザー加工機を導入し、B to Cのパッケージユーザー向けのネット受注に取り掛かった。
主な取引先の和菓子・洋菓子関連の受注が年末年始に集中するという創業当時からの課題に対し、出版・印刷会社や医薬品メーカー、文具関係などにも業容を広げた。商業印刷が低迷する中でパッケージに着目した印刷会社との協業も増加し、泰清紙器の由来でもある『川の流れ』のように、穏やかに時代の変化を捉え、顧客やステークホルダー、協力会社とともに成長してきた。
豊富な提案で付加価値向上
貼箱はかつて手工業で1個ずつ作られ、民芸品としての需要も根強い。高級感があるため、現在では宝飾品や高級菓子などのパッケージとして使われている。一方、コロナ禍の影響で個人通販等により極少部数のニッチな需要が顕在化したが、同社ではそのニーズに応えられていなかった。そこで2020年12月にRICOH Pro C7200Sを導入し、小ロット紙器製造への対応力を強化。顧客の要望に寄り添った提案の選択肢の幅を広げた。
「貼箱の色柄が変わることで中に入れた品物のニュアンスが変わります。1万を超える貼箱の注文に対して、そのまま引き受けることももちろん可能ですが、最終的に手にするエンドユーザーを念頭に置いて、いかに付加価値を高めるかを考えます。季節や時期で柄を分け、同じ月でも時期によって花の絵柄を変えるなどバラエティを増やし、100部ごとに分けて納品すれば、付加価値を高めた上で、お客様が在庫を抱えるリスクをなくすことができます。Pro C7200Sによってそうした提案を出しやすくなりました」(大木啓稔社長)
同社は、当日から遅くても2営業日以内に見積もりを返すスピード感や、プラスアルファの価値提供を強みとしている。例えば、財布を入れる化粧箱の注文があった場合、財布を包む透明紙への名入れや、ロゴの箔押し、印刷を提案。顧客の喜びを最も重要視し、主役である商品を引き立てる付加価値の高い化粧箱の製作を目指して顧客の要望から2倍、3倍へと膨らませたレスポンスに注力している。
「工夫を凝らした提案がその時に採用されなかったとしても、真摯な対応を覚えていただけることで次につながります。何かあった時、一番に声をかけてもらえる会社になることが大切です。何をすればお客様に喜ばれるかを常に考え、大塚商会のセミナーなどを通して学んだマーケットの情報や捉え方を営業の担当者に伝え、方針を決めています。一度構築した関係が継続し、離れていかれないようにする囲い込みが営業の極みです。そのためにどんな小さなニーズにも応えるように意識し、何でも解決してくれる、困った時に解決案を模索してくれる、と感じていただけるような頼りになる会社づくりを心掛けています」(大木啓稔社長)
また、大木社長はPro C7200Sスペシャルカラーのゴールド、シルバーによるメタリック表現に期待を寄せている。品質面では発色やエンボス加工への対応力から箔押しの人気が根強い一方、Pro C7200Sはワンパスで納期的に余裕がありコストも抑えられるため、顧客に提示できる豊富な選択肢の1つとなる。
近年、同社のネット販売サイトではデジタル印刷での受注も増加傾向にある。実物を確認しないネット受注では当初、クレームが発生しがちだった。事前にサンプルを送付し、色柄の相談を開始してからは、ネットからの紙器製作で中々ない細かな対応だと好評を得ている。今後はネットの商品を中心に、ゴールド、シルバートナーの活用を展開していく。
紙器製作では出力後に加工を施す関係上、特殊な色や紙を通すことが多い。上限ぎりぎりの厚さで給紙がうまくいかずにずれが生じる場合などは、大塚商会のサポートが迅速に対応。導入時にも丁寧なサポートがあり、新たな提案に関わるチャレンジにも欠かせない存在になっている。
「表面加工の際には紙がカールしてしまうことがあるので、紙の種類や厚さを調整して挑戦しつつ学んでいきます。Pro C7200Sは生産機として売上を出す以上に、提案力の強化として活躍しています。お客様の選択肢の幅を広げ、真っ先に相談される会社になるための心強い武器だと感じています」(大木啓稔社長)
株式会社泰清紙器製作所 本社:東京都練馬区平和台2-41-5
事業所・工場:埼玉県戸田市笹目北町14-6