PrintNext2022特別対談 開催テーマ〝印刷を再定義〟に懸ける想い語る 前編

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全国印刷青年組織3団体が主催する「PrintNext2022」が、2月12日と4月29日に開催される。2月12日は、東京都千代田区内幸町のイイノホール&カンファレンスセンターで業界関係者向けのカンファレンスを実施。4月29日は、東京都千代田区外神田の3331 Arts Chiyodaで一般入場者を対象としたイベント『ココカラ市場』を開催する。実行委員会の青木允運営委員長(青樹印刷㈱)、稲満信祐実行委員長(㈱イナミツ印刷)から、PrintNext2022の目的・役割や活動内容、開催テーマ『〝印刷を再定義〟―時代を彩る印刷のチカラ―』に込められた想いなどについて話を伺った。

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運営委員長

青木 允 氏

 (青樹印刷㈱、左)

実行委員長

 稲満 信祐 氏

 (㈱イナミツ印刷、右)

印刷青年人が描く印刷の未来

青木:今回、コロナ禍での開催のため、実行委員会では政府や東京都、会場の基準のほかにPrintNext独自の基準を設け、感染対策を徹底して入念に準備しています。しかし、年明けから日々感染拡大の一途をたどる状況を踏まえ、初日の2月11日に予定していた『ココカラ市場』の延期を決断しました。

書面やWebのみでの紹介に留めてしまうことはせず、多くの人々に実際に見て、触れて、感じていただきたいという関係者一同の強い思いから、イベントの中止ではなく4月29日に延期し、リアルイベントとして開催を目指します。2月12日のカンファレンスは予定通り開催しますので、安心してご来場していただきたいです。

前身のPRINT4から数えて10回目の節目を迎えるPrintNextは、業界団体の垣根を超えて新しい価値を生み出すことを目的にイベントが開催されてきました。その中で諸先輩方が築き上げた関係のおかげで現在、我々は仕事、組合活動、プライベートに至るまで、団体の垣根を感じることなく活動できています。これはPrintNextを通じた青年会活動の積み重ねの結果です。

PrintNext2022では、その成果を大切にしつつ、新たな目的・役割を示したいと考えました。そこで、これからの社会で必要とされる印刷産業の在り方を実行委員会で議論し、テーマを・印刷を再定義・に決定しました。印刷業がもたらすことができる価値、担っている事業範囲などを社会全体に向けて発信し、コミュニケーション産業としての社会的地位を明確にするためのイベントへと進化させたいと考えています。

印刷会社が実際にできることと、業界外の方が認識しているイメージにはギャップがあると感じています。一般の方からすると、印刷と言えばチラシや名刺、冊子、書籍が思い浮かぶでしょう。もちろんそれは間違いではありませんが、印刷会社は社会に対してもっと多くの価値を提供しています。それを世の中の人に知ってもらい、業界内外の『印刷』という言葉の認識のギャップを埋めることがPrintNext2022の目的の1つです。

『ココカラ市場』ホームページから
『ココカラ市場』ホームページから

稲満:私は2014年2月に印刷業界に入り、翌年の2015年からPrintNext2016の活動に参加しました。そこで先輩たちの背中を見て勉強させていただき、共に開催に向けて準備を進め、PrintNextは『想いを形にする場』なのだと強く感じました。業界に入る前のサラリーマン時代では全く経験できなかったような、言わば『大人部活』のようなイベントだと感じています。

PrintNextの実行委員会はほとんどが若手の経営者で組織されるため、個性的な方が多く集まります。人の意見に従うよりも自分が主導して進めることが得意なリーダーシップのある方ばかりなので、通常、同じ組織にいると上手くまわりません。『想いを形にする場』だという共通の認識があるからこそ、短期間で熱量高くまとまって活動できているのです。1つの目標に向かってイベントをつくり上げる楽しさや、自分とは異なる考え方を学ぶ場としてもとてもありがたく、他では得難い経験ができています。

昨年、PrintNextのテーマを相談する中で青木運営委員長は、会社名を伝えたときに「印刷って大変だよね」と言われてしまう現状をどうにかしたいと話していて、私もそれに共感し、印刷業界が主催だと知って驚いてもらえるようなイベントにしようと方向性を決めました。

そこで今回は、マーケティング思考やSDGs、DX、インフルエンサーの起用など昨今の社会情勢で企業にとって欠かせない要素も含め、地方で活躍している企業やクリエイターを応援して一緒に取り組みを進めました。直接印刷物を製作する以外にも、印刷業にはできることがたくさんあることを広く伝えるべく、一般来場者を対象とした『ココカラ市場』を設け、印刷業界向けのカンファレンスと合わせて2日開催としました。

『ココカラ市場』は、日本各地の個々のカラーが集まり、ここから発信するという意味合いでネーミングされました。一般の方に印刷業について知ってもらう『ココカラ市場』に向けて、まずは集客の方法を考えました。PrintNext2022実行委員会の北海道から九州までの全国8ブロックは、SDGsをベースに活動している約2者・社とブロックごとにタッグを組み、各地のイベントをお手伝いし、SNSでの情報発信を通じて応援することでファンの醸成を図りました。そして、当日限定の料理やパフォーマンスを披露する『ココカラ市場』の会場にファンをお招きするわけです。

『ココカラ市場』出展情報
『ココカラ市場』出展情報

青木:今回タッグを組んだ方々を応援する上で、印刷会社がどのようなサポートを提供できるか、あまり一般に知られていないと感じています。『ココカラ市場』の活動を通して、印刷会社がより効果的な販促物の提案や、動画作成などさまざまなサービスを展開できることを発信することで、企業やクリエイターが展示会などへの出展や、新商品のPRを考えたときに、真っ先に相談されるポジションになるための足掛かりになればと思います。

出展を予定している19のブースでは、どのブロックも上手く地域の特色を出して課題を抽出し、とても面白いコンテンツができ上がっています。地域活性化に役立つ内容も多いので、今回限りではなく、各地で継続して取り組んでいただくことで高い効果が得られると思います。今回一緒に取り組みを進めていた企業やクリエイターは、コロナ禍の影響で販売機会や情報発信の場を失った方が多いです。そうした機会の創出も含めて、印刷業ができることを各ブロックが熟考し、コロナ禍でも販売を伸ばし一緒に成長するための施策を真剣に考えた内容になっています。

カンファレンスは、業界の仲間に対して、PrintNext2022として活動してきた内容を紹介し、テーマとして掲げた〝印刷を再定義〟の答えを示す場です。各ブロックの活動のプロセスは他の取り組みにも転用できるため、『ココカラ市場』でつくり上げた手法をプラットフォームとして捉え、自社のマーケティング戦略や営業展開につなげていただけたらと思います。単に報告で終わらないように、自社の成功へのヒントを持ち帰ることができる内容になるよう考えています。

また、講演会では、アパホテルの元谷芙美子社長をお招きし、「時代の変化にあわせた成長戦略 ―私が社長です。―」をテーマに語っていただきます。当時すでに市場が成熟していたホテル業界にあって、地方の不動産業者から参入したアパホテルは、業界トップレベルの総客室数を誇る企業にまで上り詰め、今もなお発展中です。これまでの常識を覆すようなビジネス展開を実行してきた元谷社長の考え方や熱意から得られるものは多いと感じています。

印刷業には古くからの歴史があり、伝統的なビジネスの考え方を踏襲してきたからうまくいっていた部分もまだまだあると思います。しかし、今後はそういった部分が逆に足かせになり、新たな取り組みに舵を切れなかったり、社会の波に置いていかれかねないという危機感を抱いています。

リーマンショックや東日本大震災、コロナ禍のような新たな社会の変化の中にあっても右肩上がりでビジネスを成長させている元谷社長に、勝ち組で居続ける秘訣を伺えればと思います。従来の印刷会社からの変革が迫られる岐路に立たされている状況だからこそ、業界の常識やしがらみにとらわれずに独自の革命的な経営手法を展開する手法を取り入れていかなければなりません。

後編へ続く

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