高機能包装材料の需要伸びる2015年は前年比2.1%増見込み~矢野経済調査
矢野経済研究所はこのほど「高機能包装材料市場に関する調査結果 2015」をまとめた。高機能包装材料とは、バリア性や易開封(イージーオープン)性などの機能を有し、食品やトイレタリー製品などの包装に使用される材料。2015 年 9 月~11 月まで、軟包装材料及びその原反(L-LDPE、OPP、CPP、PET)メーカー、ハイバリア性材料メーカー、イージーピールフィルムメーカー、シュリンクフィルムメーカー、鮮度保持包装材料メーカー等を対象に実施した。
高機能包装材料のうち、食品やトイレタリー製品などの包装に使用されるハイバリア性材料の国内市場規模(メーカー出荷数量ベース)は2013 年が 11万9,460トン、2014 年が121,830トン(前年比 102.0%)と推計。2015 年の同市場規模は 124,390トン(前年比 102.1%)の見込み。食品メーカーや流通業界で、食品ロスの削減に向けて食品の保存期間長期化のニーズが高まっており、同研究所ではハイバリア性の包装材料(以下、包材)の需要が増加傾向のためと分析している。ただし、新たにハイバリア性の包材が採用されたことで、食品ロスが減少することにより、包材そのものの需要縮小で相殺されるケースもみられる。
品目別の内訳をみると、牽引役となっているのはアルミ蒸着フィルムと透明蒸着フィルム。主力用途の食品分野で、食品の保存期間長期化に寄与するハイバリア性の包材の需要が増えていることに加え、金属探知機対応や中身が見える透明な包材のニーズを取り込むことで、出荷量を伸ばしている。2015 年も食品分野を中心に引き続きハイバリア性の包材の需要が根強く、共押出多層 Ny フィルムやPVDC コート(K-コート)フィルム等の7品目の包材が前年を越える出荷量を見込む。
イージーピールフィルムは、主にデザート類や豆腐などの蓋材として使用される高機能包装材料であるが、毎年の需要量に大きな増減が無く、成熟市場とされてきた。しかし、2013 年以降に新たな用途として出現したCVS(コンビニエンスストア)のカウンターで提供されるアイスコーヒーの容器向けで採用。これにより、出荷量が押し上げられていることに加え、高齢化の進行により易開封(イージーオープン)性に対するニーズが一層高まることから、イージーピールフィルム市場は今後も拡大すると予測する。
CVS でのカウンターコーヒー販売は、包材メーカーにとって新しいマーケットであり、包材市場に与えたインパクトは大きい。特にイージーピールフィルムを採用した蓋材は、これまでファストフードでは使用されていなかったため、イージーピールフィルムメーカーにとっては全く新しい用途であり、成熟マーケットの中で注目された。蓋材はアイスコーヒー用の氷入りカップに使用されており、2016~2017 年頃までの成長が業界内で見込まれている。
資料名:「2015-2016 年版 高機能包装材料市場の展望と戦略」
発刊日:2015 年 11 月 26 日
体 裁:A4 判 259 頁
定 価:120,000 円(税別)
株式会社矢野経済研究所