電通グループ 「デジタル社会指標2020」でパンデミック下のテクノロジー効果顕著に
電通グループの電通イージス・ネットワーク社は、世界22カ国・地域の32,000人以上を対象に コロナ禍におけるデジタル化進展とそれに対する意識調査を実施し、その結果をまとめた「デジタル社会指標2020」を発表した。
同調査は、テクノロジーと社会の関係を明らかにすることを目的とし、デジタルテクノロジーの活用実態や、幸福度への波及効果、家族や友人とのつながりへの影響等について聞いていている。2018年の開始以来、今回で3回目となる。
調査によると、パンデミック宣言下において社会は「Techlove(テクラブ)」と呼ばれる「デジタルテクノロジーに好意的」なフェーズへと移行し、前向きにテクノロジーと相互作用していることが分かった。例えば、ロックダウン中におけるデジタルテクノロジーは、家族や友人、周囲の人々とのコミュニケーションを可能にし、さらに潜在的なストレスを軽減する役割を担っていたと、全体の約3割が回答している。
新興国ではデジタルソリューションやオンライン化の進展により、職業や教育面においてもデジタルテクノロジーの恩恵を受けていた。地域によっては、半数近くの人が自宅学習の増加、教育用アプリやオンライン授業により知識が向上したと回答している。一方、先進国における恩恵の度合いは新興国に比べて低い傾向にある。
パンデミックの最中、多くの人々がデジタルテクノロジーとの建設的な関わりが社会的な課題の解決につながることを身をもって経験し、テクノロジーの役割をポジティブに捉えるようになっている。とりわけ健康管理面におけるテクノロジー活用が人々の意識の変化に貢献していることが調査結果から窺えると報告されている。
企業にとっては、生活者との相互作用を再考せざるを得なくなった。調査結果から、人々は精神や身体をサポートするような新サービスの提供について単に「欲しい」というだけでなく、「今後5~10年を見据え、より良い社会影響をもたらすテクノロジーを活用したサービスに期待する」と回答。人々は、【将来的にはすべての企業が健康や幸福度に貢献するようなブランドになることを期待】していることが読み取れると、同調査では分析している。
パンデミック時におけるテクノロジーによる短期的な恩恵がある一方、複数の国で「Techlash(テクラッシュ)」と呼ばれる「テクノロジーに懐疑的」な人々によるテクノロジーに対する否定的な感情も一定程度存在することが明らかとなった。
世界22カ国の約57%の人々が「テクノロジーの変化が速すぎる」と感じており、約半数がデジタルテクノロジーによって貧富の差が拡大していると感じているという結果が出ている。新興国ではロックダウン中にテクノロジーが役立った一方、テクノロジーに対して否定的な見方をする人も多い。
また、ソーシャルメディアは人のつながりの維持に役立つというポジティブな側面がある一方、世界の約13%の人々がテクノロジーによるストレスや切り替えの難しさを感じていることも明らかになった。特に英国や米国では、そうした回答者が平均を超えた。
なお今回の調査で、日本はポジティブ・ネガティブいずれの質問項目においても数値の低い結果が出ており、社会におけるテクノロジーの関わり・役割について「意識・関心が低い」ことが明らかとなった。