電通 人間の消費行動に影響を与える「11の欲望」2024年版を発表、”さみしい人と思われたくない” から ”わたしの役割で繋がりたい” へ

株式会社電通のプロジェクトチーム「DENTSU DESIRE DESIGN(デンツウ・デザイア・デザイン)」(DDD)は、2021年から実施している「心が動く消費調査」の最新結果をもとに、人間の消費行動に強く影響を及ぼすドライバーとなる感情を分析した「11の欲望」を更新した。

今回の更新では、「現代の価値観」に関する質問を新たに30項目加えて分析し、43項目の普遍的な「根源的欲求」と75項目の「現代の価値観」の双方から「11の欲望」の更新を行った。その結果、構成要素である欲求因子の数(11)には変化がなく、「11の欲望」に普遍性があることが裏付けられた一方、価値観の変化に伴い6つの欲望について内容が更新された。

6つの欲望が変化した要因
今回の分析で、「11の欲望」という大きな枠組みは変わらないものの、その中の内容が変化していることが明らかになった。「11の欲望」のうち半数以上にあたる6つの欲望が変化した背景には、以下の大きく2つの要因があるとしている。

人間の消費行動を駆り立てる「11の欲望」

1. 特殊な状況への最適化を経て、欲望をアップデート
 新型コロナウイルス感染症の影響下では多くの人が特殊な状況に自分を最適化していた。そこから少しずつ解放され、経済活動や生活が活発になっていく中、元に戻るのではなく、その経験を通して培った自らの欲望をアップデートしていく方向に向かった。
 失われた数年とするのではなく、価値のある経験にしたいという、消費者のたくましさが感じられる。

2. 一人で自分と向き合う時間から、仲間と関わり自分のスキルを実感する時間へ
 過去の調査において「自分と向き合う時間」や「一人で過ごす時間」の大切さが再発見されていることは、すでに明らかであった。今回の調査では、さらにもう一歩先に進化し、それらの時間で熟成された趣味やスキルの運用傾向が高まっている。
 実際に趣味やスキルを通じて仲間や社会と関係し貢献することで、自らの新たな付加価値を確かめてみたいという気持ちが感じられる。

変化のあった”欲望”について

④「さみしい人とは思われたくない欲望」→「わたしの役割でつながる欲望」
「孤独だと周りから思われるのは嫌」という欲望が存在していたが、新型コロナウイルス感染症の流行により強制的に他者とのつながりを断たれる中、「一人でいても別に恥ずかしくない」と考える価値観が広がり、より集団の中での自分の意味を考える欲望に変化。

⑤「マイワールドを追求したい欲望」→「腕を磨いたから、腕試し欲望」
 探求したい、成長したい、といった自己実現に没頭することを望む欲望から、「没頭したい」という欲求が他因子に移行。「感動したい」という欲求が加わることで、新型コロナウイルス感染症の影響が限定的になる中で、自分が煮詰めていたことを誰かと共有して手応えを感じたいという欲望に変化。

⑥「資本集中型浪費欲望」→「資本集中型消費欲望」
 これと決めた世界で気のおけない仲間と盛り上がり、時間もお金も一気に放出して自己実現したいという欲望から、「後先を考えずに楽しみたい」という欲求が他因子に移行。「本当は派手にいきたいけれど、そうもいかない」現実もあり、「浪費しても構わない」ではなく「現実的に行動したい、お金を使いたい」という欲望に変化。

⑧「炎上しないための欲望」→「肝心な時こそ気配を消したい欲望」
 リアルでもバーチャルでも些細なことでもめがちな世の中で、「とにかく炎上したくない」という保守的な欲望から、すぐ炎上する時代だからこそ常に「みんな」の方に所属することで「安心と安全を確保したい」と考える欲望に変化。「得するより損をしたくない」と考えるように。

⑩「あえて愛を確認したい欲望」→「愛がなくちゃね欲望」
 愛があることはわかっていても、あえてそれを確認することで、「誰かとのつながりを確かめたい、ちょっと感動したい」という欲望から、「感動したい」という欲求が他因子に移行。「愛したい、愛されたい」という考えは変わらないながらも、それを消費行動などで形にすることが人生を豊かにすると考える欲望に変化。

⑪「集め方を集めていく欲望」→「あっ、コレわたしっぽい欲望」
 「モノだけでなくコトも含めた思い出や物語を自分自身の記録としてためたい」という欲望に、以前は他の欲望に含有されていた「没頭したい」「後先を考えずに楽しみたい」という欲求が追加。少し変わった個性も含めた自己演出により、「周りから注目されたい、またそれも見越した衝動買いも楽しみたい」という欲望に変化。

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