誠伸商事は10月11日、東京都府中市の港北メディアサービス府中工場で、『SONORAによる完全無処理工程 工場見学会』を開催した。

港北メディアサービスは、商業印刷、出版印刷、ビジネスフォーム印刷を広く手掛ける印刷会社。昨年、港北出版印刷、栄光舎、東港出版印刷の3社が統合して、港北メディアサービス株式会社に社名を変更している。主な設備はリョービMHIグラフィックテクノロジー（RMGT）の菊全判ワイド5色LED-UV機「RMGT 10」、A全判8色機/反転機構付LED-UV機「RMGT 9」をはじめ、油性インキ対応の菊全判4色機、四六半裁4色機、菊全判両面2色機、菊全判2色機/反転機構付。製本加工機も揃えて一貫生産の体制を整えている。

同社がコダックの完全無処理プレートの『SONORA XTRA』を採用したのは今年8月。2017年1月にコダックのプレートセッター『MAGNUS 800』の導入と同時に、『SONORA XJ』にプレートを切り替えて以降、6年間、完全無処理に刷版工程で生産を続けている。

同社取締役製造本部長の岡本定勝氏は見学会に先立つ挨拶で、完全無処理工程への移行について「QCDの観点からの改善が最大の目的だった。切り替えに際しては誠伸商事から親身に説明してもらった。コダックから提供された版を使って2色機で印刷したところ、問題なく刷れたので、他の機械にも広げていった」と述べた。また、無処理版のメリットに「現像液やガム液、廃液処理、現像機の電気などのコストがカットされる。SONORA XTRAでは視認性も高くなった」を挙げた。

最新の『SONORA XTRA』は従来品に比べて版面の視認性が2.5倍に高まったほか、耐刷性と高精細印刷適性が向上している。耐刷性について港北メディアでは8万～10万枚の実績を上げている。

19社35名が参加した見学会では、『MAGNUS 800』（マルチカセット）からのプレート出力を実演し、スクエアスポットレーザーによる高解像度出力や、搬送時の対傷性を説明。その後、印刷現場に移り、菊全判ワイド5色LED-UV機「RMGT 10」、A全判8色機/反転機構付LED-UV機「RMGT 9」での印刷を実演した。

「RMGT 10」ではサイマルチェンジャーによる全版同時交換のあと、本刷りでA4・4色の観光パンフレット1,000枚を印刷した。1枚目から本刷りまでの刷本を広げ、インキの乗り方と立ち上がりの早さを披露したほか、RMGT 10、RMGT 9のLED-UV印刷の乾燥性や、マコト化学工業の湿し水とプレートの相性も紹介した。