経産省2014年生産動態統計 平版印刷機の生産台数1,000台を回復
経済産業省の生産動態統計から、2014年の印刷機械関連の生産、およびインキの販売・生産の動向をまとめた。
印刷関連機械の生産台数は1.0%増
2014年の印刷機械の生産台数は前年比1.0%増の2,483台(産業用デジタル機除く)だった。
2014年は円安の影響もあり、オフセット(平版)枚葉印刷機の生産が増加。2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災による部品調達等の支障や設備投資の停滞、長引く円高傾向により、オフセット印刷機の生産台数はピークの半分以下に落ち込んだ。徐々に回復傾向にあるものの、リーマンショック前に比べると低い水準にある。
減少傾向が続いていた製版機械は、同3.5%増とプラスに転じた。製本機械は前年に引き続きプラス成長。産業用デジタル機は53.6%と引き続き大きく増加した。
■印刷機械
印刷機械の生産台数は、過去10年間はほぼ4,000~5,000台の範囲で推移しており、2009年には2,484台と大きく落ち込み、2010年、2011年、2012年も3,000台に届いていない。2014年の平版印刷機の生産台数が前年比6.8%増(66台増)の1,034台だった。このうち長巻式(輪転)は136台と前年比9台増加した。枚葉式は57台増加した。
■製版機械
急速に進んだデジタル化により、この間、スキャナがデジタルカメラに変わり、電子組版機がパソコンによるDTPに置き換わり、発注者側で文字や画像を入力できるようになった。2014年は、4年ぶりの増加で1,694台。
■製本機械
オンデマンド対応の小型機の増加や検査機械の増加、印刷会社の内製化が挙げられるほか、当時の輸出関連の好調さも、現在の市場の背景となっている。2014年は13,555台で前年比5.9%増加した。
■産業用デジタル機(A3寸延び以上の機械が対象)
2008年までの統計では事務用で利用されている機械も計上されていたが、2009年からは純粋に産業用途の機械のみで算出している。2014年は1万1,286台が生産され、同53.6%増加した。
■紙工機械
紙工機械は400台から500台の間で推移してきたが、2009年に300台を下回った。2014年は前年比7.3%減少の293台が生産された。
インキ全体では0.1%の微増
2014年の印刷インキ全体の出荷販売量は41万5,061トンで、前年比0.1%増加した。前年まで4年連続のマイナス成長だったが、2014年はプラスに転じた。一般インキは36万5,581トンで同1.6%の減少となった。
印刷インキの販売金額は2,997億8,700万円で同0.1%増だった。一般インキも2,717億7,000万円で同0.1%増。一方、平版インキは836億4,400万円で同4.3%減少した。
出荷販売量と販売金額の減少幅を見ると、平版インキは出荷量の落ち込みよりも、販売金額の減少幅が大きい。樹脂凸版インキも前年比1.3%のマイナス。グラビアインキ、その他インキの販売金額はプラスだった。
2014年は円安による原料価格の高騰などから平版インキ、グラビアインキの値上げが相次いで表明された。グラビアインキは出荷量がマイナス、販売金額がプラスで値上げの浸透が伺えるが、平版インキは販売金額のマイナス幅が大きかった。
【2015印刷機材年鑑 資料から】