経済産業省 環境負荷低減に向け、オフセット印刷の刷版寸法に関する国際規格を改定
経済産業省では、印刷印刷方式であるオフセット印刷に用いられる刷版の寸法に関する国際規格が改定されたことを発表している。これは、国際規格に「標準のサイズ(幅・長さ)」を追加することで、サプライチェーンにおける刷版の在庫や廃棄物削減、さらには環境負荷低減に寄与することを期待して行われた。
今回の規格改定の背景として、印刷方式の主流となっているオフセット印刷では、ユーザーが指定する仕様に沿って個別に刷版を製造した結果、刷版サイズのアイテム数は世界で約9,000種類にも及び、増え続けている。このサイズの違いにより、サプライチェーンにおいて在庫や廃棄物が増加することが課題となっていた。こうした状況を解消するためにも、標準となるサイズを国際規格として規定することになった。
今回発行された国際標準ISO12635(ISO12635 印刷技術 - オフセット印刷用版 - 寸法)では、従来から規定されていた刷版の厚さや平坦度、エッジの真直度、バリの要件に加え、新たに刷版のサイズ(幅・長さ)について定めている。
刷版のサイズの規定に当たり、世界中で使われている刷版を集計した結果、微妙なサイズの違いが数多くあることが判明。そこで日本が考案した「標準サイズ選定のためのルール」に基づき、刷版のサイズを261種類(全サイズ数の3%程度)に絞り込むなど、日本が国際規格の改定を主導し、2021年6月9日に国際規格として発行した。
今回の国際規格に基づき、オフセット印刷業界として、印刷会社、印刷機メーカー、刷版メーカーが協力し、刷版のサイズ数削減を進めていくことで、刷版のサプライチェーンにおける在庫や廃棄物削減、ひいては環境負荷低減につながることが期待されている。このことは、持続可能な開発目標(SDGs)の観点からも、資源利用効率の向上や環境に配慮した新たな技術の開発(目標9)、持続可能な生産を支えるための資源効率の促進(目標12)に貢献することが期待される。
【標準サイズを選定するための4つのルール】
A:刷版メーカーと印刷機メーカーで一致している
B:刷版メーカー2社、若しくは印刷機メーカー2社で一致している
C:印刷機メーカーのサイズと刷版メーカーのサイズが近傍(√2mm内)の場合は、印刷機メーカーサイズが選ばれる
D:刷版メーカー同士、印刷機メーカー同士の近傍サイズは、最も大きなサイズが選ばれる