第57回造本装幀コンクール 入賞作22作品を表彰、過去最多の185名が応募

(一社)日本書籍出版協会および(一社)日本印刷産業連合会(日印産連)は9月30日、東京都千代田区の出版クラブホールで「第57回造本装幀コンクール」の授賞式・記念パーティーを執り行い、入賞した22作品を表彰した。

造本装幀コンクールは、造本装幀の従事者(出版、印刷、製本、装幀、デザイン)の成果を総合的に評価する出版業界で唯一の賞。今回の応募作品は総数327点、応募数185者で昨年を上回った。特に応募者は過去最多となった。応募作品の傾向としては限定版、特装版といった高価で特別感ある書籍が多かった。

審査委員会は厳正な審査の結果、22作品の入賞を決定。上位賞である文部科学大臣賞に、「Je suis là ここにいるよ」、経済産業大臣賞に「心臓」、東京都知事賞に「鍵のかかった文芸誌」が選ばれた。

入賞作品を含む全応募作品327点は、9月30日から11月5日まで、出版クラブ3階のクラブライブラリーに無料公開展示される予定。また、入賞作品は2025年にドイツ・ライプツィヒで開催される「世界で最も美しい本コンクール」に出展された後、2025年10月にドイツで開催されるフランクフルト・ブックフェアで展示される。

日本書籍出版協会の小野寺優理事長は「今回は奇をてらった作品よりも、市場に流通する書籍という縛りの中で従来の手法を活かし新たな魅力を生み出した作品が注目を受けた。また、特装版といった特別感を演出する作品が多かった。紙の本を購入するということが社会の人々にとって特別なことになりつつある。だからこそ作る側もこれまで以上に『紙の書籍ゆえの価値』を提供しつづけなければならない」と挨拶を述べた。

続いて日印産連の堆誠一郎副会長は「造本装幀コンクールも第57回を迎えた。日印産連はこれからもこのような活動を通して業界の発展に貢献していく。皆様にはより美しく、より良い本づくりに注力されることを期待する」と述べた。

【上位入賞作品】

▽文部科学大臣賞=「Je suis là ここにいるよ」(出版社=月とコンパス、装幀者=坂川朱音(朱猫堂)、印刷会社=㈱イニュニック、製本会社=製本ディレクション/㈲篠原紙工、製本/大村製本㈱、出品者=月とコンパス)

▽経済産業大臣賞=「心臓」(出版社=ふげん社、装幀者=町口覚、印刷会社=渡辺美術印刷㈱、製本会社=㈲篠原紙工、出品者=ふげん社)

▽東京都知事賞=「鍵のかかった文芸誌」(出版社=菊池拓哉、装幀者=o-flat inc.、印刷会社=藤原印刷㈱、製本会社=㈱望月製本所、出品者=菊池拓哉)

【入賞作一覧】(造本装幀コンクール公式サイト)
https://www.jbpa.or.jp/zohon/zohon-winning.html

入賞者集合写真
日本書籍出版協会の小野寺優理事長
日印産連の堆誠一郎副会長
上位三賞(文科・経産・都知事)

関連記事

最新記事