矢野経済研究所 2021年の国内印刷通販市場規模は前年比102.3%の1,237億円、2022年は同108.3%の1,340億円の見込み。

(株)矢野経済研究所は、2022年度の国内印刷通販市場の調査結果を発表した。それによると、2021年の国内印刷通販市場規模は前年比102.3%の1,237億円であった。2022年は同108.3%の1,340億円を見込んでいる。DX(デジタルトランスフォーメーション)化の浸透と共に好調に推移する国内の印刷通販市場は、縮小基調の一般印刷市場を支えている。

 調査は2022年10月~12月に印刷通販事業者等を対象に同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話、e-mail等によるヒアリング調査で実施された。同調査における印刷通販とは、印刷通販サイトを運営する事業者が形成する市場を指し、①購入価格をウェブ上に明示している②商品の発注はインターネットを介して実施できる(入稿方法は必ずしもオンライン入稿を問わない)③自社サイトとして独立運営している④「同人誌」、「名入れ」に特化したサイトだけを運営する専門事業者および、「年賀状」等、特定時期のみにサイトを開設する専門事業者は含まれていない。

矢野経済研究所2022年度印刷通販調査

印刷通販は90年代後半に初めて誕生し、インターネット環境が劇的に進化した2000年以降に本格的に市場が形成された。以降、印刷通販事業者各社が積極的にTVCMを打ち出したこともあり、印刷通販の認知は格段に上がり市場も拡大基調にある。印刷通販は従来の業務プロセスを簡素化させただけでなく、データ作成時に仕上がりイメージを確認できるプレビュー機能を実装したことで印刷トラブルの削減にも貢献した。これにより、名刺や封筒など印刷面積の小さい物に限られていた取扱い品目も、うちわやポスターなどにまで拡大。加えて少量発注に対応する事業者が出てきたことで、個人事業者の需要も取り込むようになった。
 印刷通販を手掛けるウェブサイトは多数存在するが、上位企業3社が市場の半分以上を占める寡占化が続き、様々なユーザーがウェブサイトを利用するため、納品物の品質や納期に加え、ウェブサイトの使いやすさや入稿後の調整作業などのアフターフォローなど様々な角度でサービス向上が図られている。特にコロナ禍では、少量発注での都度印刷や納品先の指定、即日配達など、印刷通販だからこそできる柔軟な対応が奏功し、一般印刷市場において印刷通販は堅調である。法人企業の販促用途が大部分を占めるため、コロナ禍では成長率こそ鈍化した印刷通販市場だが、今後は法人企業各社の販促需要の回復が期待され、様々な産業で進む更なるDX化も追い風となり、同市場は引き続き好調に推移すると見られる。

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