矢野経 2018年度IT系BPO市場規模は前年比103.2%の2兆4,478億円に
矢野経済研究所は、国内のBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場を調査し、サービス別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
BPO市場は、IT系BPOと非IT系BPOに大きく分けられ、2018年度のIT系BPO市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比103.2%の2兆4,478億円、非IT系BPO市場規模(同ベース)は同101.4%の1兆7,274億円の見込み。
内訳では、IT系BPO市場は安定的に成長。その理由として、企業の扱うデータ量が年々増加し、台数が増えたサーバーをデータセンターに預ける企業が増加傾向にあることや、間接部門である情報システム部門の要員を削減する企業が増加しそのような企業がデータセンターを活用した運用アウトソーシングサービスの利用を増やしていることなどが挙げられている。
一方、非IT系BPO市場については、人材不足が深刻化し、その対応として外部リソースを活用する企業が増加し、外資系企業の日本市場参入に伴いアウトソーシング需要が増加。加えて、2018年4月から適用される有期労働契約を対象とした無期転換ルール等の影響によりBPOサービスに切り替える企業が増えていることなどから、微増ながらも堅調に成長している。
トピックとして、近年は、人材不足の影響から採用に力を入れる企業が多く、人事BPOの一つである採用関連業務のアウトソーシングが徐々に広がってきている他、2021年度に預貯金口座へのマイナンバーの適用を義務化する可能性があることを背景に、2021年度からは人事業務であるマイナンバーの収集・保管・廃棄・利用におけるBPOの利用増が期待されている。
但し、人事BPOは、人事業務が企業共通の汎用的な業務であるため参入障壁が低く、競合が多い。そのため単価を維持しづらい傾向にある。また、日本企業の多くが人事業務を自社で行いたいという意向が強く、大手企業グループでは自社グループ企業向けに人事・総務業務を行うシェアードサービス会社が存在しているケースも多い。このことから、部分的なニーズの拡大は見られるが、人事BPO市場全体は微増の推移に留まると予測している。