桜井隆太社長インタビュー 第7回岐阜工場新技術発表会(4月19日-22日)に向けて
桜井グラフィックシステムズは、4月19日から22日まで、岐阜県美濃市の同社岐阜工場で「第7回サクライ岐阜工場新技術発表会」を開催する。(要予約制)
新技術発表会では、新製品のロールトゥロールシリンダースクリーン印刷機「MSDR-30」や印刷シート自動検査装置「MS102-INS」のほか、バージョンアップを果たしたシリンダースクリーン印刷機「MS102-AX+インキ自動供給装置」などが披露される。
その他に、ダイレクト駆動シリンダースクリーン印刷機「MS110-DDS」、オフセット印刷機の四六半裁5色機「OL-580SDC」、人気の高いマグネットシリンダー仕様の菊半裁複合加工機「OL-66RCS」、フィルムセッターCTF、デジタルダイレクトスクリーン製版装置DLE-Compactも紹介される。
会期中には、同社工場純正オーバーホール中古印刷機の即売会も併催されるほか、光文堂と共催で、印刷関連ソフト及び資機材の展示実演も行う。
新技術発表会の見どころとサクライが目指すものづくりについて桜井隆太社長に伺った。
【インタビュー:桜井隆太社長】
必要とされるものづくりを追求する
顧客の強みを活かす1品仕上げの印刷システム
4月19日から22日まで、桜井グラフィックシステムズ岐阜工場で、「第7回サクライ岐阜工場新技術発表会」を開催します。スクリーン印刷機の新機種やバージョンアップ機、スクリーン印刷機の躯体を利用した自動検査装置、オフセット印刷機をベースにしたロータリー複合加工機などお客様と共に生み出したといえる新製品・新技術を発表します。
サクライは、お客様ごとの特注・改造を含めた1品仕上げで作り込みをしているのが特長です。お客様の要件を満たすことを一番に、お客様とともに作り出し、必要とする機械を提供することで差別化を提案することに繋げています。
お客様も変化しており、その世代や考え方に合せていくことが必要です。機械メーカーとして求められることとして、オフセット印刷の副資材の見直しや中古機のオーバーホール、菊半裁複合加工機「OL-66RCS」を提供しています。今回はそれに加えて、スクリーン印刷機を改良した印刷シート自動検査装置「MS102-INS」も発表します。
スクリーン印刷機を新しい分野へ広げていくことを考えて誕生したのが「MS102-INS」です。検査装置の課題だった安定性を解決し、なおかつ良品と悪品が分かれて排出されるような製品になっております。
弊社が得意としている1品仕上げへの対応が、検査装置の分野でも生かされております。検査の市場は、検査対象に応じて「どこを」「何を」検査するのか、検査内容を絞り込む必要があるからです。この設備を採用頂くことで、検査装置の標準機を持つことになり、利用することでノウハウが蓄積され、差別化に繋がると思います。従来のスクリーン印刷機と同じ製造工程で製造するのでコストも抑えられているのも魅力です。スクリーン印刷機がベースなので、新たなオペレーションが不要で、導入企業にとって固定費などの負担を抑えることができます。
導入が進んでいるマグネットシリンダー仕様の菊半裁複合加工機「OL-66RCS」についても同様で、オフセット印刷機をベースにしているため、多能工化が実現するという考え方です。極力、お客様が投資した分を回収できることを意識した製品づくりを行うことで、投資対効果を実感できるところまで踏み込んで提供したいと思っています。
技術発表会の会期中は、岐阜工場内にある中古機のオーバーホール工場も見学できます。中古機をオーバーホールすることで新台に近いくらいまで復元できます。新台の出荷台数に影響すると指摘されることもありますが、中古機の償却というお客様のニーズに焦点を当てたサービスです。
今、現場が抱えている課題に応える提案をしていく
顧客ニーズを反映した象徴的な製品として、イメージセッター「サクライイメージセッター SIS」も出展します。すでに代表的なメーカーではイメージセッターの生産を中止しており、フィルムの供給も限られたものになっています。しかし、スクリーン印刷の現場では、まだまだフィルム出力が必要です。そこで復刻版として、イメージセッターを販売することにしました。4~5年後には完全にデジタルな環境へ移っていくと思いますから、限られた期間内で償却できる価格と適正な機械であることもポイントです。
個展の開催は、印刷機材展が激減しているという課題へ対応するという目的もあります。機材展の減少はお客様と接点を持つ機会が少なくなることにつながります。それをフォローする意味でも個展には意義があります。
また個展を通して、新しいビジネスをいくつか提案します。パッケージがメインですがスクリーン印刷機を使った付加価値に取り組む時代が到来していることを紹介したいと思っています。
印刷業界における技術面での課題に対しても提案したいと考えております。男女を問わず、若い方が希望をもって業界に入っておりますが、一方で、印刷機の熟練オペレーター(職人)がピークアウトする傾向にあります。技能検定のお手伝いをさせて頂いている中でも、ある程度の実績が必要な1級の取得が難しくなってきていると感じます。高度な技術・技能を維持・継承することへの対応策として、副資材の分野から歩み寄ることが必要であり、せっかくの機械も使いきれないのではないかと思います。そうした視点からも、お役に立てる提案をしたいと考えています。
印刷業は“製造”を伴うサービス業
印刷機メーカーも、印刷機だけを提案するのではなく、トータルで提供する時代になりました。ソリューションもアプリケーションもお客様と一緒に考えていく時代です。
お客様はすでに紙以外への印刷など、多くの事業の柱を持つチャンスが到来しています。薄いフィルムに導電インクを載せてセンサー技術として提供している企業やTシャツの製造、自動車の内装やダッシュボード、あるいは立て看板やのぼりの製造に取り組む企業もおります。一方、伊勢神宮にもサクライのオフセット印刷機(菊半裁2色機)が導入されており、ここでは和紙や薄紙を使った表現力の高い印刷物を実現するものとして活用しています。つまり、これからの印刷会社の可能性の一つに、表現力があると思います。
新しい分野へ進出することで印刷をサービス業として間口を広げるために、オフセット印刷業の企業にスクリーン印刷を活用して表現力を上げて頂くことが出来ます。スクリーン印刷とオフセット印刷のコンビネーションを行うといったご提案をしていきたいと思っています。その時、加飾するメディアは紙以外に拡がってきます。
印刷産業は、素材を越えて、ベースティングや印刷に対する造詣があり、確実にノウハウを持っている産業なのです。ですから、他からの新規参入が難しいと思います。印刷業は、付加価値のあることができる業態であると捉え、オフセット印刷あるいは紙への印刷という限られた視点を外すことで、新しいマーケットが生み出せるのではないでしょうか。
2020年に向けた景気浮揚を狙う
今後、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてロゴマークの活用が活発になり、JIS規格のマークの変更など、今後はボリュームのある市場の動きが期待できます。景気が浮揚しマーケットが拡大すると、それなりに量産ニーズが浮上してくるため、本来のオフセット印刷機やスクリーン印刷機が必要だろうと思います。そしてスクリーン印刷機やオフセット印刷機は、誰でも扱える機械ではないので、印刷会社のノウハウが発揮でき、それにより差別化が生れます。
印刷産業は、装置産業的な業態のメリットを追求できる業態です。製作・製造を伴うサービス業へと変革しているのであり、サービスに付加価値を提供する技術を持っています。そしてお客様がサービス業へ転換されるならば、提供する機械も多様化が必要です。
印刷業にとって、全ての業種業態がお客様になりえます。そこに深く入っていければ、印刷産業にとって市場を取り込むチャンスが必ずあると思います。サクライでは、必要とされる機械を適正価格で提供してくことが必要だと考えます。
個展の他に、4月5日から7日まで、東京ビッグサイトで開催する「第27回ファインテックジャパン」にも出展します。会場では600㎜幅サイズのダイレクトサーボ駆動R2R型スクリーン印刷機「MSDR-60」を出展します。薄いフィルムに導電インクなどのベースティングを行う機械です。
サクライは、お客様との対話を大切にし、お客様の要件に合せた製品づくりを行っています。今後も、より良いご提案をし続けていきたいと思っております。
第7回サクライ岐阜工場新技術発表会 開催要項
会期:4月19日(水)~4月22日(土) 午前10時~午後5時
会場:桜井グラフィックシステムズ 岐阜工場
(岐阜県美濃市亀野町3951)
*送迎バスあり。要申込み
問合先:0575―35―2551※予約制