東京五輪に伴う東京ビッグサイト問題で日展協が新たな声明文~首都圏に仮設館建設を訴える
一般社団法人日本展示会協会(石積忠夫会長)は東京オリンピックの開催に伴い、メディア施設として使用される東京ビッグサイトの利用ができなくなる問題で、4月8日、新たな声明文を発表した。また、関連する署名活動の継続を表明した。
昨年10月、東京都は「2019年4月から2020年11月までの20ヵ月間、オリンピックのメディア施設としてビッグサイトの大部分を使用すること」を公表。幕張メッセ(千葉市)もオリンピックの競技会場に使用されることが計画されている。
日展協は、出展売上4兆円の消滅に加え、装飾・宿泊などの4,000億円の直接経済損失につながるとして昨年11月、声明文を出し、危機を訴えた。とくに中小企業のビジネス機会が失われるとし、新たなメディア施設の建設を提言。署名活動を開始し、約6万8,000の署名を集めた。
今年2月には東京都が「仮設展示場の新設」等の改善策を発表。問題は当初に比べて軽減されたが、それでも2019 年の 4~6 月の 3 ヵ月、準備工事のため東京ビッグサイトの3分の1が使用できず、2020年4月から7ヵ月間は全館で使用できなくなる。この場合、約170本の展示会が同会場で開催できなくなり、概算で1兆6,000億円の売上損失が見込まれている。
ロンドン五輪やリオ五輪では仮施設建設により全ての展示会が例年通り開催されている。今回の声明文では、首都圏に5~8 万㎡程度の新たな仮設館の建設の検討を要請。また建設に際しては海外から「安価かつ短期間で建設・撤去が可能な新しい手法」に関する情報が寄せられているという。
東京ビッグサイトが使用できなくなり、展示会、イベントが縮小されると、関連する印刷物や展示物を受注する印刷会社にも影響が及ぶ。また、コミックマーケットを始めとする同人誌イベントが開催中止となると、関連する印刷会社からは「売上が半分になる」との声もある。