東レ ミヤコシ等と軟包装材向け水なしオフセット印刷機を共同開発
東レは、ミヤコシなどと食品や生活用品など身近な商品の軟包装材向け印刷用に世界初となる水なしオフセット印刷機を共同開発した。
今回の新開発は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業として行われたもので、これにより、東レ独自の水なし平版と、省電力LED-UV技術によるインキ乾燥方式と組み合わせることで、軟包装用印刷のVOCフリー化と、従来の印刷方式に比べて約80%の消費電力削減を実現する。
東レは、NEDOのプロジェクトにおいて、VOCフリー化や省電力性など環境性能の高い軟包装用水なしオフセット印刷システムの開発を2016年度から開始し、2017年度には印刷機メーカーのミヤコシ、印刷用インキメーカーのT&K TOKA、ならびに印刷システムのユーザーである光村印刷が参画して、開発を推進。この度、システムの中核となる世界初の軟包装用水なしオフセット印刷機を開発した。
今回開発した軟包装用水なしオフセット印刷機は、東レ独自の水なし平版と水溶性UVインキとの併用により、印刷時にVOCを含む湿し水を使う必要がないほか、印刷後の設備などの洗浄にVOCが発生しない水系洗浄液を利用できる。加えて、省電力性が高いLED-UVを使ったインキ乾燥方式を組み合わせることで、溶剤乾燥と排気処理が不要となる。これにより、グラビア印刷方式に比べてVOC排出量の98%以上の削減と、印刷機1台あたり約80%減となる年間96万kWhの電力消費量の削減を実現する。
さらに、同軟包装用水なしオフセット印刷システムでは、VOCフリーシステムによって排気処理装置や防爆対応設備が不要となるほか、平版の使用により版代コストを安く抑えられる。設備導入コストとランニングコストを低減できるため、軟包装用印刷の多品種化・小ロット化が進む市場に、優れたパフォーマンスで対応できる。
なお東レは、世界が直面する「発展」と「サステナビリティ(持続可能性)」の両立をめぐる問題の解決に向けて、革新技術・先端材料の提供によって、本質的なソリューションを提供していくことを掲げている。今回開発した水なしオフセット印刷機と水なし平版、水溶性UVインキを組み合わせた軟包装用水なしオフセット印刷システムはその取り組みの一貫として印刷業界の環境負荷低減に貢献するものとして提供していく。