旭紙工 「セットアップルーム」を新設、外部遮断・湿度・静電気管理のクリーンルームで完全検査
旭紙工株式会社(本社・大阪府松原市三宅中、橋野昌幸社長)は、このほど完全検査室「セットアップルーム」を新設した。橋野社長は「製品検査に対する要望が高まっています。製品の見栄え、アッセンブリーなど完全検査が求められてきました」と開設の目的を述べる。多様化する検査のニーズに対して同社は折機、中綴じ、無線綴じ、カレンダー製本の全工程に検査機を設置。橋野社長は「最後は人間の感性で検査します。セットアップルームを旭紙工の新たな柱に育てます」と検査のコストを惜しまない姿勢を貫いている。
「印刷を支え、加工を活かす」を掲げる旭紙工は、従業員約200人。大阪府松原市に4100㎡の本社工場と大阪市平野区瓜破南に4600㎡の瓜破工場、松原市三宅中に物流センターを持つ。
完全検査室「セットアップルーム」は本社工場内に設置している。従来のアッセンブリー部門を外部から完全に遮断し、「門番」の強固な扉から手洗い、専用スリッパ、専用キャップ、袖口締め、エアーシャワールームを通らないと入室はできない。内部は気圧、湿度、静電気を管理し、クリーンルーム仕様を整えている。
橋野社長は「ほぼクリーンルーム仕様としていますが、アッセンブリーと検査を同時に行うので『セットアップルーム』という名称にしました。これまでの経験から顧客の検査に対する要望は多様化しています。そのためにあらゆる検査レベルに対応できる体制としました。セットアップルームではカメラやセンサーで検査された製品が持ち込まれます。最後の検査は人間の感性、製本された製品への〝愛〟というのでしょうか。汚れやコスレは検査機でできますが、それ以上は働く人の心、感性です」とセットアップルームの人材育成と質を重視する。
旭紙工は製本・加工部門でポーラー、イトーテックの断裁機が11台、折機部門は正栄機械、スタール、ハイマンなど35台、中綴機はミューラー、ハイデルベルグの2鞍から10鞍まで計11台、芳野YMマシナリー16鞍無線綴じラインと24鞍無線綴じラインが2ライン、スイスBOGRAMAの型抜き製本など多様な製本・加工設備を持つ。同社はIT、デジタル化の導入により不良品を防ぐ生産態勢を構築しており、本社と瓜破工場内には120台の「見守りカメラ」を設置。折機と中綴じ機部門には検査装置を設置している。また折機での混入事故を防ぐため多くの折機にカメラ検査機を搭載するとともに、中綴機にはノーム社製完成品検査装置の「セパキャリトリム」を7台設置。これにより中綴じ機は三方断裁時の断裁不良や通常の検査機で検出されない「折れこみ」の事故を皆無にした。
橋野社長は「検査へのコストは惜しみません。お客様に安心信頼される製本会社をさらに追求します」と今後の方向を語っている。
〔旭紙工株式会社本社〕
大阪府松原市三宅中6-14-19
℡072‐336-5360