日本WPA 総会で工場見学会併催。VOCフリー実演も
日本WPA(日本水なし印刷協会)は6月8日、福島市のキング印刷㈱において、第8期定期総会と工場見学会開催した。総会では、水なし印刷を拡大・革新する「WISH」の新年度事業計画を承認し第9期をスタートさせた。
総会に併せて、水なしLED-UVを推進するキング印刷と、山形県米沢市の精英堂印刷㈱の工場見学会を行い、UVインキ完全VOCフリーの印刷実演を見学した。
新年度事業 “WISH”は、「W (Warterless)は、『水なし』の環境優位性をIGA2018やエコプロ、低酸素杯などで業界内外にアピールし、環境保全に先進的な企業に向けた話題作りを実施する。
I(Inonovation)については、『カーボン・オフセット』『CFP』『リノベーションン』に次ぐ革新的サービスを3Wインクやサプライチェーン全体のCO2排出量算定に合わせたscope1、2の先駆け的な『全体排出量算出サービス』を検討する。S(Sustainable)は、日本WPAが宣言するSDGs(持続的な開発目標)の行動を実施し、様々なサービスや技術を通して環境保全、持続的な開発など社会に貢献していく。H(Humanity)は、全国規模のセミナーや工場見学会、ゴルフ会、情報提供を実施し、会員の交流とサービスを充実させる」(田畠久義会長)。
また、マーケティング委員会、組織活性化委員会、IGAS2018委員会を設置し、エコプロ2018展の出展、地球温暖化防止全国ネットセブンイレブン記念財団LIXL低酸素杯に「日本WPAバタフライ優秀賞」の創設、3Wインクマークの普及を推進する。
キング印刷と精英堂印刷で工場見学会
総会後には、併催行事としてキング印刷㈱(福島県福島市、伊東邦彦社長)と精英堂印刷㈱(山形県米沢市、井上吉昭社長)の工場見学会を実施した。
キング印刷は、LED-UV搭載の5台の枚葉オフセット印刷機において、水なし印刷に取り組んでいる。精英堂印刷は、新たに開発されたVOCフリーの水なしUV印刷用資材「3W ink(Water Washable waterless UV ink)」の印刷実演を公開した。キング印刷では、稼働する5台19胴すべての印刷機で、LED-UV印刷を行っている。
設備内容は、小森コーポレーションの菊半裁4色機「リスロンG26-4」を水なしLED-UV印刷専用機に、ハイデルベルグ製の菊全判4色機「スピードマスターCX102-4」とリョービMHIグラフィックテクノロジー㈱製のA3判縦通し2色機「340HA-2」は、水なし・水あり兼用LED-UV印刷機として運用している。
伊東社長は、「東日本大震災および原発事故によって壊滅的な打撃を受け、現在も立て直しを図っている。震災以前の、軽オフ機を中心とした16台の印刷機体制から、5台に集約した。印刷オペレーター歴が数年という若い力と、最新鋭の印刷機と技術で活路を見出し、LED^UV印刷化した。今後は水なし印刷の営業を強化し、商業印刷とパッケージ印刷分野を拡大したい」と語った。
精英堂印刷では、世界初となる水溶性インキを用い、VOCフリー化の印刷実演を見学した。
井上社長は「水なし印刷によりUVインキ、水系洗浄剤での洗浄が可能なる水溶性インキ原料を使ったUVインキにより、オフセット印刷工程においてVOCフリー化を実現した」と挨拶した。
実演では、同システム用として開発されたT&K TOKA製のインキ「UV171TR」を使用し、ハイデルベルグ製の菊全判印刷機「スピードマスターXL105-6+LX」で白板紙への4色印刷、白板紙の全面に銀インキを事前印刷した4色印刷の2ジョブを行った。
ジョブ替えでのインキ洗浄時に、VOC測定器で計測。3W印刷をすることによってVOCが放散されないことが証明され、参加者から驚きの声が上がっていた。