日本HP メディアの価値を再定義、印刷の半数はデジタル印刷に
日本HPは1月23日、報道関係者向けの事業説明会を開き、事業の現状と今後の方針などを説明した。説明会では同社の岡隆史社長をはじめ、パーソナルシステムズ事業、グラフィクスソリューション事業、3Dプリンティング事業の責任者が登壇した。
岡社長はHPの2018年度の売上が約6.4兆円、利益が4.6千億円で、全地域・全事業での好業績を強調。国内でもPC事業が成長し、シェアが15.0%に達したことを報告した。。好業績の背景には“Keep Reinventing”という発明を繰り返すビジョンを挙げ、「HPは今までどこもやっていないことをお届けしてきた」と力を込めた。
HPの技術革新のアプローチは、2年先までを見据えた『先進的開発』、5年先までを見通した『応用研究』、20年先までを予測した『創造的研究』の3段階に分かれる。この中で、HP Labsが長期的な視点での研究を担い、HPが有する技術を活かす分野を発掘している。
岡社長はとくに『創造的研究』について「将来を見てストーリーを作り、技術的投資を進めている」と述べ、世の中を動かす“メガトレンド”への着目をポイントに上げた。
現在、HPでは4つのメガトレンド『急速な都市化』、『人口動態の変化』、『超グローバル化』、『イノベーション加速』に着眼し、そこから生じる社会的な課題の解決に向けた技術を掘り下げている。例えば、急速な都市化に伴い、省スペース化や共有の課題が生まれ、小型装置の開発やシェアリングビジネス支援に投資する。
また、岡社長は今世紀最大の課題に『持続可能性』を指摘。2017年に社会・環境要件の取引額が売上の約2割を占める1.7兆円に上り、バリューチェーンや多様化・環境整備、地域社会の分野での需要増を示した。
グラフィックスソリューション事業の説明では同社執行役員デジタルプレス事業本部本部長の小池亮介氏が登壇。世界の総印刷枚数の90%超が商業・産業印刷分野で、「印刷の半数がデジタル印刷に移行できる」との見解を示し、「新商品が1年持たない。ライフサイクルが半年となり、3ヵ月になるだろう。ビジネスを支えるインフラとして、そのサイクルに今の印刷は追いついていけるだろうか」と、デジタル印刷が必要とされる背景を説明した。
また、小池氏は「イノベーションを起こすために、印刷会社、クライアントとともに最新事例を作っていく」と、ディノス・セシールがカート離脱者向けに送付するパーソナライズDMなどの事例を挙げ「デジタル印刷によってメディアの価値を再定義する」と意欲を示した。