日本生産性本部 テレワーク実施率は16.2%と過去最低を更新、20代・30代の実施率が大幅減に

公益財団法人 日本生産性本部は、7月25日、新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査(第10回「働く人の意識調査」)結果を公表した。それによると、現在の景況感および景気見通しは悪化しており、原料価格の高騰、急激な円安等が生活に影を落としていることが確認された。テレワーク実施率は16.2%と過去最低を更新し、いずれの従業員規模でも過去最低となり、年代別では20代・30代の減少が目立つ結果となった。
同調査は、組織で働く雇用者を対象に、勤め先への信頼度や雇用・働き方に対する考え方などについて四半期毎にアンケートにより実施しているもの。今回は、行動制限が全て解除され、繁華街や観光地に人が戻ってきた一方、新規感染者数が増加に転じ始めた7月4日~5日までの期間で、20歳以上の日本の企業・団体に雇用されている人、1,100名を対象にインターネットを通じて行った。

◎ 景況感:現在の景気「悪い」が約4割、今後の景気見通しも悲観的な傾向続く

・現在の景気について、「悪い」が前回4月調査の30.9%から37.6%へと増加した。「悪い」「やや悪い」の計も72.0%となり、2021年4月以来の7割超えとなった。原材料価格の高騰、急激な円安等が影を落としているとみられる。
・今後の景気見通しは、「良くなる」「やや良くなる」との楽観的な見通しが減少し、「悪くなる」「やや悪くなる」という悲観的な見通しが増加する傾向は続いている。

◎ 感染不安と外出自粛:全年代で「不安を感じる」割合は減少し、警戒感は概ね希薄化

・自身がコロナに感染する不安については、「かなり不安を感じている」の割合は前回4月調査の19.8%から14.9%へと減少し、過去最少になった。
・年代別では、全ての年代で「不安を感じている」割合(「かなり不安を感じている」「やや不安を感じている」の計)は減少した。また「かなり不安を感じている」は、70代以上を除く全年代で10%台となり、新型コロナウイルス感染への警戒感は概ね希薄化している。


◎ 勤め先への信頼感:業績・雇用への不安は弱まるものの、収入への不安は拭えず

・勤め先の業績への不安については、「不安を感じる」(「かなり不安を感じる」「どちらかと言えば不安を感じる」の計)は48.7%と過去最少だった。5割を下回ったのは今回が初めてとなる。
・今後の自身の雇用について、「不安を感じない」(「全く不安を感じない」「どちらかと言えば不安を感じない」の計)が51.9%となり、4回連続で5割を上回った。
・今後の自身の収入について「不安を感じる」(「かなり不安を感じる」「どちらかと言えば不安を感じる」の計)は64.6%と3回連続で微増している。


◎ 市場価値と転職に対する考え:業種により差、給与への不満が転職意向に影響か

・勤め先から支払われている給与が、自身のキャリアや能力、成果から見て世の中の相場に見合っていると思うかについては、「相場より低いと思う」すなわち自身の市場価値は給与額よりも高いと思う雇用者が38.6%と最多だった。
「相場より高いと思う」すなわち自身の市場価値よりも多く受け取っていると回答した雇用者は5.6%で、「相場に見合っていると思う」すなわち妥当な金額だと思っている雇用者は30.3%となった。また「わからない」が25.5%。


◎働き方の変化:テレワーク実施率は過去最低を更新、20代・30代の実施率が大幅減

・テレワークの実施率は16.2%となり、2022年1月調査の18.5%を下回り過去最低を更新した。
・従業員規模別では、101~1,000名の勤め先は前回4月調査の25.3%から17.6%に、1,001名以上は33.7%から27.9%に減少、100名以下は11.1%から10.4%へと微減。いずれの従業員規模でも過去最低の実施率を記録した。
・年代別では、20代で12.0%、30代で15.5%と、ともに前回4月調査から低下。20代の実施率は全調査回・全年代を通じて最低水準となり、30代はそれに次ぐ低さとなっている。

・テレワーカーで週のうち3日以上出勤する者は、前回の52.7%から50.5%に微減した。
・自宅での勤務の満足度について、「満足している」「どちらかと言えば満足している」の計は、前回4月調査で過去最多の84.4%を記録したが、今回は75.0%に減少した。

この調査結果レポート本文は、日本生産性本部の調査研究・提言活動サイトでも紹介している。

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