日印産連 インクジェット機、ハイブリッド機の保有が増加
一般社団法人日本印刷産業連合会の技術部会・デジタルプレス推進協議会は3月18日、東京・新富の日本印刷会館で、「デジタル印刷の現状と展望」に関する調査報告会を開催した。同協議会が実施し、取りまとめた「印刷業界におけるデジタル印刷に関するアンケート調査」の報告ならびに、デジタル印刷機メーカーによるプレゼンテーション、デジタル印刷保有企業によるパネルディスカッションを通じて、今後のデジタル印刷の可能性を示した。
アンケート報告では、今回も回答企業(135社)、デジタル印刷機保有企業全体(108社)と、上位グループ(35社)の3つのグループに分けて、デジタル印刷ビジネスの利用促進を比較検討した。主要受注品目は、全体集計と比較してデジタル印刷機保有企業は、パンフレット、チラシ、カタログ、マニュアル、そしてシール・ラベルやクロスメディア制作の受注比率が高い。また、社内の工程・製造設備を見ると、上位グループで特に企画部門が充実している。
保有するデジタル印刷機の種類は前回調査からトナー機の比率が約10ポイント減少し、対してインクジェット機とハイブリッド機が増加した。月間出力ページ数(A4換算)は、デジタル印刷機保有企業全体でトナー方式が月間2,082万ページで1社平均37万ページ、インクジェットが月間337万ページで1社平均14万ページ、ハイブリッド印刷が651万ページで1社平均217万ページとなった。
今回初めて実施した保有各社のデジタル印刷売上と有版印刷売上の比較では、デジタル印刷売上が有版印刷売上を超えているという回答が全体で6%、上位グループで5%存在した。一方で、未だに5%未満と微々たる売上に留まる企業が、全体で47%、上位グループで57%に及んだ。
引き続き行われたメーカーによるプレゼンテーションでは、キヤノンマーケティングジャパン、コダック、SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズ、日本HP、富士ゼロックス、リコーの各社がdrupa2016の出展概要を中心に、デジタル印刷関連の最新情報を解説した。
パネルディスカッションでは、パネリストに奥村印刷の山田秀生プリプレスセンター長、笠間製本印刷の田上裕之社長、共進ペイパー&パッケージの鍛冶川和広ハコプレ事業部長、東洋紙業の岡田辰哉IPS事業部副事業部長を迎え、デジタルプレス推進協議会座長でJAGATフェローの相馬謙一氏がコーディネータとなって、各社のデジタル印刷の活用事例や取り組みの課題について意見が交わされた。