日印産連 デジタル印刷の売上に占める割合は11.2%に微増
日本印刷産業連合会のデジタルプレス推進委員会は、3月26日、日本印刷会館で「『デジタル印刷の現状と展望』に関する調査報告会」を開催した。
報告会の第1部は、デジタルプレス推進委員会座長で日本印刷技術協会(JAGAT)専務理事の郡司秀明氏とJAGAT担当部長の花房賢氏がアンケート調査の結果を報告した。
調査報告によると、回答企業の全体の売り上げに占めるデジタル印刷の割合は平均11.2%で、前年度の10.6%からわずかながら増加した。1社平均の保有台数は4.28台で、こちらも前年度の4.22台から微増した。
なお、オフセットなどの従来印刷を超える時期を尋ねた設問では、「超えることはない」という回答が68.7%となり、前年度の60.6%を大きく上回る結果となった。普及は足踏み状態と言える。
方式別では粉体トナーが338台、液体トナーが23台、大判インクジェットが246台、枚葉インクジェットが21台、インクジェット連帳が21台、インクジェット(オフセット搭載)が2台、シール・ラベルが8台だった。
デジタル印刷の売上については、受注品目の順位は、1位が事務用印刷、2位報告書や論文、議事録など。3位がチラシとなっている。成長率、将来性についてはDMと大判出力が上位につけた。
受注1件あたりの平均ロットは、500枚以下が全体の62.8件で、前年度のと比較し、小ロット化が進んでいる。一方で、平均ロットが1万枚超という回答も8.5%あり、必ずしも小ロットではないことがわかった。
デジタル印刷の顧客への訴求ポイントとして、パーソナライズDMの成功事例が話題になるものの、市場の裾野が広がってきているとは言い難いと報告された。
郡司氏は「デジタル印刷機の普及が足踏み状態の今こそ、新しい取り組みを始めなければいけない」と語った。
なお第2部では、メディアテクノスの井上秋男氏による「Hunkeler Innovationdays 2019」視察報告が行われた。同イベントには100社が出展し、4日間1万5千人が来場した同展示会には、リコーの「Ricoh Pro VC20100」や、ホリゾンの「Smart Binder」、ザイコンの「Xeikon 9800」など、最新の加工機が実機展示され、40ラインのライブデモが行われた。
続いて第3部では、郡司氏がモデラーを務め、フュージョンの花井秀勝氏、グーフの岡本幸憲氏、日本フォーム印刷工業連合会の山口実氏、メディアテクノスの井上秋男氏をパネリストにパネルディスカッションが開催され、変わりゆく印刷の価値について話し合われた。