新星コーポレィションは、12月21日、同社が日本で販売している抗ウイルス・水性抗菌分散ニス「Lock３」が、ドイツの第三者機関により新型コロナウイルス不活性化証明を取得したことをオンラインによる記者会見で発表した。ドイツの第三者機関「Eurovir」は、可視光のみの光の照射で99.99％以上の「殺ウイルス活性」を証明。加えてISO2216、JISZ2801においても光触媒による抗菌効果の認証を得た。

Varcotec社が製造する「Lock３」は、印刷物を無バクテリアと無菌の印刷物にできる画期的な水性ニス。日本では新星コーポレーションが販売窓口となって９月から提供している。第三者機関「Eurovir」によると、Lock3を塗布した印刷物表面にウイルス・細菌が付着した後、そこに日光や室内光が当たると、ニス内に含まれる光増感剤が反応してウイルスや細菌を攻撃する。１㎠あたり10万個の細菌でテストしたところ、１分間で1,000個、８分間で１万個、60分で５万個、400分後には99.99%の細菌が消滅した。これにより第三者検査機関の「Lock３」が殺ウイルス活性を証明するとして報告書が発行された。

記者会見で長嶺社長は、「最初に感染症と戦っている医療関や自治体関係者に敬意を表したい。５月にWebでドイツの印刷通販会社が抗菌保護ニスを使ったレストランのメニュウの印刷物をオンラインで受注していることを知った。それがきかっけとなり、当社が日本の販売窓口となり９月からお客様に提供を開始し、印刷物の製造に関する検証テストを行ってきた。実は、日本で印刷の営業マンがお客様に案内パンフレットを渡そうとしたところ、感染が怖いから持ち帰って欲しいと言われたという衝撃的な話を聞いた。こうした状況もあって抗ウイルスへの証明書が必要で、コロナ禍に役立てることがないかと考えていた。今回、第三者機関から不活性化に関する調査結果の証明書を得られたので、これを契機にLock３で印刷物を新型コロナウイルスから保護し、日本の印刷業界を元気にしていきたい」と、新型コロナ不活性化テストに関する証明の意義を強調した。

同社では、新型コロナウイルスに対する検証結果の「EN14476」準拠の証明書、印刷物に表記する「Lock３」ロゴの無償提供、データのPINの付与、会員の取得順番号を運用を2021年１月から行っていく。

Lock3の価格は、ニスの種類によって異なる。目安として20kg/11万円で提供。初年度１億円の売上を目指す。また２月３日から５日まで開催されるpage2021にも出展し、サンプルや使用に関する相談を受ける。

ウイルス減菌率99.99％の「Lock３」について

「Lock３」は、カット紙の場合、印刷機のインラインコータおよびオフラインコータのいずれでも使用できる。コート、マットコート、コートボールに加え、フィルムの場合はPET、PP、合成紙にも対応する。ロール紙の場合、グラビア印刷およびフレキソ印刷に対応し、PET、PP等の軟包装材向けの材料として利用可能。

食品適合ニスとしても認可を受けているので、食品のパッケージや包装材、食堂などで利用するトレイなどで採用でき、消費者へ安心を届ける印刷サービスを実現する。このことから、食品分野以外にも、衣料品やおもちゃのパッケージ、トイレタリー、ゲーム、絵カードなどでの採用も考えられる。また、多くの人が活用する航空会社、電車やバスなど公共機関の印刷物にも活用できる。

「Lock３」は、ドイツのレーゲンスブルグ大学の研究所とTriOptoTecGmbH社が開発したＤDyphox技術（光増感剤による一重項酸素抗菌効果）により製品化された。製品化にあたって９ヵ月間、２つの病院で1,300の抗菌実証実験を行い、効果を確認。それによるとウイルスの減菌率は99.99％に達している。

Varcotec社は、2018年から印刷業界向けに「Lock３」を開発・販売。現在では、ユーロ圏で印刷通販サービスを展開しているWirMachenDruck社やFlyerAlarm社、Cimpress社の抗菌印刷で採用されている。

記者会見では、Varcotec社のヨアヒム・フリングス専務取締役から「日常環境は多くの細菌で汚染されている。人々が触れる様々な印刷物には菌やウイルスを広げる媒体になる可能性がある。感染拡大の背景にはグローバル化がある。人々は、多文化社会に住み、〝長距離旅行は社会的成果の１つ〟といえる。その中で、バクテリア、ウイルス、細菌は人々の身の周りに存在し、無菌環境にできないことも事実である。しかし、新しい印刷ニスが免疫力の弱い人が感染するリスクを減らせるのならば、感染に対するセキュリティを高めることになる。一般の人々から印刷物に注目してもらうことが大切であり、Lock３により印刷物がそれにふさわしい評価を得られるように少しでも貢献していきたい」とメッセージを寄せた。