山形・中央印刷 謄写印刷の文化を綴った「温孔知新~素晴らしき謄写印刷の世界」発行
山形県の中央印刷は、「温孔知新~素晴らしき謄写印刷の世界」を発行した。同社は、本業である印刷業のかたわら、山形謄写印刷資料館を運営しており、謄写印刷の作品や資機材の展示・保管を行っている。
同社社長であり、館長でもある後藤卓也氏が、今年3月まで、一般社団法人日本グラフィックサービス工業会の機関紙「グラフィックサービス」に、謄写印刷についての寄稿『温孔知新』を連載してきた。同書はそれをまとめたもので、謄写印刷業からスタートした印刷会社として、そのルーツを学ぶことの大切さなどに触れている「第1回連載開始に当って」にはじまり、「第26回 NHK『ファミリーヒストリー』三宅裕司にちなんで」までの全26回分が掲載されている。
「温孔知新」では、技術普及を進めた小針美男や謄写印刷の神様ともいわれる草間京平、俳優・佐藤慶の知られざる若き日の謄写印刷作品、あるいは安藤信義氏など“孔版文化”を守っている人など、孔版・謄写印刷の発展と文化伝承にかかわってきた人々にスポットを当ててる。一方、戦時中に活躍した謄写印刷の歴史や四国原紙のこと、“孔版年賀状デザインコンテスト”にみるデザインの魅力についてにも触れているなど、さまざまな視点から孔版・謄写印刷の魅力を綴っている。
発行にあたっては、山形謄写印刷資料館発行版と、入手可能な阿古耶書房発行版の2種類を、表紙デザインを変えて発行している。
阿古耶書房発行版は1冊1,000円(税別)で購入できる。