大阪書籍印刷 高崎経済大学の学生と共同製作 水に溶ける紙のおまじないカード「Kanatte(かなって)」を自社ECサイト「archshop」で販売
大阪書籍印刷株式会社は、高崎経済大学の佐藤敏久ゼミの学生たちと共同で商品化した、水に溶ける紙のおまじないカード「Kanatte(かなって)」を自社ECサイト「archshop」で販売している。
「悩みを抱えている人を少しでもプラスな気持ちにして背中を押したい」という学生の着想から生まれたカードで、願い事を書いて財布や定期入れ、スマホケースの中などに忍ばせ、繰り返し願いを見ることで心に確かな決意を刻む。そして願いが「かなった」瞬間や、一区切りつけたい時には、その紙を水に溶かして流すことができる。
同商品は、学生が商品化を目指す大学ゼミ対抗インターカレッジ「Student Innovation College2023」(Sカレ)で生まれたコラボ商品となっている。同社が出したテーマは「未来が描けるノートづくり」で、テーマ要素の1つである「ノート」からは外れていたが、「頑張っている人の背中を少し押したい」という思いに賛同し、共同開発に至った。
商品のコンセプトは「あなたを少し強くする」。メンタルを整えるのも有効な手段の1つと考え、12月に開催された「文具女子博」で先行販売したところ、「持ち歩きたくなる可愛いデザイン」「元気がない友人がいるのであげたい」と多くの反響と共感を得た。
学生たちが悩みを話し合い、「仕事」「恋愛」「健康」「生活」の4種類に大別し、マッチする花言葉を選定してさくら、バラ、ひまわり、ゆりにデザインのモチーフを決定。3つ折りの財布にも対応できるサイズで作られている。また、持ち運んでも汚れないよう封筒を付属しており、封筒内にあっても、いつでも願いが見返せるよう、透け感のあるクラシコトレーシングペーパーを使用している。
最後に溶かすのは願いの浄化をイメージして採用したこだわりの要素。スピリチュアルな体験を提供する一方で、願いや目標を紙に書くことはアスリートや経営者などが自分の意識付けのために常用する目標設定の手法でもあり、実用的な要素も併せ持っている。
明治42年に教科書の編集・出版で創業した大阪書籍印刷は、書籍印刷を軸とした100年の歴史を持っている。一方、デジタル化によって市場が縮小する中、紙と印刷の潜在市場を開拓して新たな柱を構築するために新商品の企画に注力し、「Sカレ」への参画を決意した。その取り組みの第四弾として今回は『Kanatte』を開発した。
「しおり」と「ノート」を合体させ、読書で得た学びを記して日常生活で活かすための新ツール「Shiori Note」を近畿大学の学生と2023年9月に開発したのが第一弾。また、2024年3月には駒澤大学の学生と、自分の好きなものや言葉、出来事を五十音順で記録して集め、折に触れ読み返すタイムカプセルのような辞書式ノート「Jishoru(じしょる)」を商品化した。さらに、2024年8月には、スローツーリズムを楽しむための記録帳「風景印ノート『Tabi Comi』」を、和歌山大学観光学部学生と共同開発。
同社は従来型の発想や思考にとらわれず、消費者に新鮮さと楽しみを提供できる印刷会社をめざしている。