大阪シーリング印刷 軟包装フィルム向け水性インクジェット印刷機を導入し本格稼働開始 高速・高精細・環境配慮を実現した最新鋭設備が印刷現場を変える

OSPグループの中核企業・大阪シーリング印刷株式会社は、軟包装フィルム製品に対応したフルカラー水性インクジェット印刷機を2025年4月より本格稼働させた。製造元は、印刷機械分野で高い実績を持つ株式会社ミヤコシであり、大阪シーリング印刷の要望に基づき、約2年かけて独自仕様で開発された。

最大印刷幅1,050mmと分速80mの高速印刷を両立
導入された印刷機は、最大印刷幅1,050mmという広幅に対応しながらも、分速80m(最高100m)の高速印刷を実現している。これは一般的な水性インクジェット印刷機の約2.3倍の生産能力に相当する。高解像度1200dpi×1200dpiのヘッドを搭載しており、微細な文字や高精細な画像の表現にも対応。パッケージデザインの多様化と高品質化に応える仕様である。
加えて、ホワイトインクにはダブルヘッド方式を採用し、より高濃度での白表現が可能となった。カラーとのコントラストが際立ち、より鮮やかな仕上がりを実現している。

水性インク採用により環境負荷を大幅に軽減
従来、軟包装フィルム印刷では、速乾性や定着性の面から油性インクが主流であったが、使用される有機溶剤によるVOC(揮発性有機化合物)やCO₂排出が環境課題とされてきた。本印刷機では、有機溶剤を含まない水性インクを採用しており、製造工程における環境負荷の低減に貢献している。
また、接着剤にも非溶剤型を使用することで、残留溶剤のリスクを抑制。とくに、惣菜・弁当、水産加工品、洋菓子・和菓子など、内容物へのにおい移りが懸念される食品パッケージ用途において、安心して使用できる印刷仕様となっている。

働く人にもやさしい、職場環境の改善と安全性を両立
環境への配慮は、製品だけでなく、働く人々にとっても重要なテーマである。印刷現場では、有機溶剤による健康リスクが長年の課題となっていたが、本機は水性インクを使用することで、作業中の揮発成分の影響を大幅に軽減している。
また、ホワイトインクの拡縮補正を自動算出するワンステップアラインメント機能により、位置精度を高めつつ、操作負担を軽減している。

多品種・小ロット対応で生産性を強化
パッケージ市場では、商品の多様化やブランドごとの差別化が進むなか、多品種・小ロットでの対応力が重要視されている。今回導入された印刷機は、ジョブ切り替えの手間を最小化する「ノンストップ絵柄切替機能」を搭載しており、異なるデザインを連続的に出力できる点が特長である。
これにより、少量多品種の印刷案件に対しても、コストと納期の両面で柔軟に対応可能となった。

門司・岡山の各工場と連携し最適な印刷方式を提案
大阪シーリング印刷では、フィルム製品の生産を福岡県北九州市の門司工場と、岡山県岡山市の岡山工場で展開している。今回の水性インクジェット印刷機導入に加え、各種印刷方式を揃え、顧客ニーズに応じた最適な提案を行っている。

デジタル印刷:印刷版を使わないため版の製造コストが不要、多品種で小中ロットの生産に対応。
グラビア印刷:大ロット生産向き。またバイオマスインクを使用し環境に配慮している。
凸版印刷:印刷版を使うコンベンショナルな印刷方式で小ロットの生産に対応。

印刷方式の選択肢を広げることで、商品特性や生産数量に応じた最適な印刷ソリューションを提供している。

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