大日本印刷 「STEAM型次世代育成プログラム」の基本モデルを開発 社会人・大学院生&高校生によるワークショップでお互いに学ぶ
大日本印刷株式会社は、東京大学 生産技術研究所 次世代育成オフィスの指導のもと、高校生と社会人がともに学び合う「STEAM型次世代育成プログラム」の基本モデルを開発した。
STEAMとは
科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術・リベラルアーツ(Arts)、数学(Mathematics)の5つの英単語の頭文字を組み合わせた造語。この5つの領域を対象とした理数教育に創造性教育を加えた教育理念。教科等横断的な学びにより、課題を発見・解決する力を目指す。
同プログラムは、高等学校における、社会で働く際のさまざまな課題解決に必要な“自ら問いを立てるスキル”を習得できる授業カリキュラムを、企業の社員とともに形にして設計・運営していくもの。学生のSTEAM型の探究学習と社員の人材育成を同時に実現する。自らが学び続ける意識と問いを立てる力を育成することで、日本政府が推進する人間中心社会である「Society5.0」に不可欠な人材創出につなげていく狙いがある。
また、企業の認知拡大や未来の顧客創出につながる職業体験、社会や仕事に関する情報収集といった体験学習だけでなく、事業推進や社会課題解決のために企業が求める人材を育成する学習プログラムを企業と学校の双方の目線でつくることの重要性に着目。そこで今回、大日本印刷では、教育事業等で培ったノウハウを基盤に、東京大学生産技術研究所が持つSTEAM型教育の視点で体系立て、改善を重ね、「STEAM型次世代育成プログラム」の基本モデルを開発した。
■開発に向けた実証実験について
2024年7月から9月にかけてプログラム開発に向けた実証実験を行った。大日本印刷グループ社員と東京大学の大学院生がメンターで、探究学習に注力する関東エリアの高校生が参加。講師に東京大学先端科学技術研究センターの熊谷晋一郎教授を、視聴覚障害体験ワークの講師には出張授業等を行うGRICの高橋純也氏を招いた。また、ワークショップではグループ会社のユニバーサルデザインのエキスパートである株式会社DNPコミュニケーションデザインの社員も、バリアフリーとユニバーサルデザインの違いの講義やアイデア創出のワークを実施。参加した高校生からは、「自分たちで社会課題を見つけ、アイデアを形にする経験が初めてで、とても貴重な時間で楽しかった」「ユニバーサルデザインの考え方、社会課題とその解決方法、身近なこととの関連性、アイデアの出し方など、多くのことを学ぶことができた」との評価があった。メンターとして参加した社員からは「自分自身の成長だけでなく、年代が異なるメンバーの成果を促すことで視野が広がった」との声があがった。
■今後の展開
人材育成に課題を感じている多様な業界の企業との協働による実証実験を行うとともに、高等学校等の授業で活用に向けた、単元目標設定や評価等の整理を進めていく。2025年度中には、大日本印刷から各企業に向けて、企業研修プログラムとして提供を開始する予定。また、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)において、異年代・異文化での協働による社会課題解決の実現に向けて、本プログラムと関連した「STEAM型アイデア創出」のワークショップを予定している。