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大日本印刷&トーハン 出版流通改革を実現する出版DXで全面的に提携し、読みたい時・読みたい本を届ける

大日本印刷(DNP)とトーハンは、7月12日、東京・新宿区のDNPプラザを会場にしたオンラインと併用のハイブリッド形式で、大日本印刷とトーハンの連携による出版流通改革についての記者発表を行った。生活者を起点とする出版流通改革に向けて、全面的な提携を行うことに合意し、日本の出版流通の課題解決に向けて、両社の強みを活かした新しい取り組みを開始する。

DNPとトーハンは、両社の強みを活かして「読者に、読みたい本を確実に届け、読者の裾野を広げていく」ため、出版流通を持続可能なものとすることを目指し、4月1日、生活者起点の出版流通改革『出版デジタルトランスフォーメーション(DX)』に合意書を締結している。

DNP&トーハン ワークフロー
出版DXについて~未来のあたりまえ(発表内容から)

本の出版流通に関わる出版社・取次・書店等のステークホルダーは、従前から流通の継続・維持と収益改善に努め、一部に返品率削減などの改善効果も表れ始めている。一方、市場全体の売上減少傾向は続いており、ネット通販の拡大等により出版流通全体の変革が求められている。こうした状況に対して、 DNPとトーハンは、改めて生活者を起点とした全体最適の視点に立ち、出版流通の基盤を再整備する必要があると捉えている。この再整備に最優先で取り組むことで、物流の合理化や出版社の返品在庫の廃棄極小化を図り、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成にもつなげていく。

今回の締結により、2社が協力のもと、4つの改革を実施。それにより出版流通基盤を再構築し、生活者の購読機会を拡大するとともに、その結果としてステークホルダー各社の収益改善につなげていく。

4つの改革とは、①製造・物流改革:製造と物流の連携による適時・適量の配本体制の確立、②情報流通改革:読者の需要情報(注文・購買)や書店・出版社の在庫を共有する情報基盤の確立、③商流改革:読者の需要に応じたマーケットイン型販売体制の確立、④販促改革:書店の顧客向けのマーケティング力の強化、新たな読者獲得手法の提供。

DNPは、2015年度に、グループの丸善ジュンク堂書店と連携し、書店や出版社等での在庫と連動したフレキシブルな物流拠点として、タイムリーに書籍を届ける書籍流通センター(SRC)を整備。これにより製造から物流・販売までのリードタイムを短縮し、「欲しい時に欲しい本を手に入れたい」という読者の需要に柔軟に対応してきた。またトーハンは、2019年度より中期経営計画「REBOR」をスタートし、重要施策としてマーケットイン型出版流通の構築に取り組んでいる。読者や書店のニーズを起点とした流通を実現し、人々が必要な時に必要な本を手軽に入手できるインフラを整備し、出版文化の普及向上への貢献を目指している。

DNP&トーハン 物流エンター
書籍流通センター(SRC)

具体的には、まず取り組みの第一弾として、DNPが丸善ジュンク堂書店と共同で整備してきた書籍流通センター(SRC)を、新たにトーハン桶川SCMセンター内に設置。トーハンの倉庫・物流機能との連携を強化して、「①製造・物流改革」を推進する。(設置時期は2022年夏から秋を予定)

次いで、1冊から製造可能なDNPの書籍製造一貫工場(白岡工場)との連携強化や出版社倉庫との連携拡大により、「②情報流通改革」としての適時・適量の配本を実現する。これらの取り組みを土台とし、「③商流改革」の一環として読者ニーズを起点とした共同仕入の取り組みを進めるとともに、「④販促改革」として書店での販売力の向上を図っていく。

まず、トーハン及びDNPのグループ書店でテストを実施し、その後、両社グループ以外の書店の参入を促進し、全国規模での出版流通改革の実現を目指す。

今回の両社の連携により、マーケットの需要に応じた配本を強化し、出版流通市場全体で書店の欠品をなくし、販売機会の増大を実現していく体制が構築された。出版社では、オーム社・偕成社・河出書房新社・新星出版社・ポプラ社・有斐閣等が、書店からは三省堂書店から、当取り組みに対する参画の意思表明を得ている。

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