大日本印刷 富士物流との共同開発でロボットとRFID(ICタグ)を活用した図書館向け蔵書点検サービスを開始、蔵書点検の作業時間を8割以上削減

大日本印刷株式会社(DNP)は10月24日に全国の図書館に向けて、RFID(ICタグ)を活用した蔵書点検サービスの提供を開始する。蔵書点検に関して、富士物流株式会社と共同で独自のロボットやシステムを開発し、作業時間の大幅な削減に貢献する。

RFIDを活用した蔵書点検サービス開発の背景と狙いとして、図書館運営における蔵書点検の作業での休館による利用者への長期の利用制限の発生や、作業者の作業負荷や臨時雇用が必要になるといった、効率性の問題が大きな課題になっていることが挙げられる。

こうした課題の解決に向けてDNPは富士物流と共同で、RFIDを用いて様々な厚みや大きさの資料でも、作業時間を大幅に短縮できる蔵書点検サービスを開発した。

蔵書点検のロボット

RFIDを活用した蔵書点検サービスのポイントは

1.図書館への事前調査、作業設計と準備作業(蔵書点検ルートや手順等の設計、作業員や機材の確保等)、実際の蔵書点検作業の代行(蔵書点検作業~蔵書点検データ作成、不明本リストに基づく現物確認等)の実施。
2.図書館ごとのRFIDの利用状況に応じて、効率的なスキャニング手法を提案。
3.RFID未導入の図書館に向けた導入支援。
4.DNPはサービス構築や機器仕様設計を行い、DNPのグループ会社である株式会社図書館流通センターと、丸善雄松堂株式会社を通じてサービスを提供。富士物流は、作業検証、点検作業、機器開発を行う。

の4点になる。

HF帯RFID対応のパッケージサービスでは、高出力ハンディリーダーを使用した読み取りシステムを提供し派遣した作業員が読み取り作業を行う。
これにより、作業員1人の1時間当たりの読み取り数1,000~1,200冊が5000冊~10,000冊に拡大することになる。

UHF帯RFIDタグ対応のパッケージサービスでは、高出力リーダー搭載の蔵書点検ロボットとハンディリーダーのシステムを提供。派遣した作業員が読み取り作業を行う。作業員1人の1時間当たりの読み取り数も2,000~10,000冊から60,000~70,000冊に拡大することができる。(ロボット1台とロボットの操作員1人、作業員1人によるハンディリーダーでの作業の場合。)ロボット重量は60kg程度であり、多層階でもエレベーターで移動可能。

DNPは本サービスを通じて、図書館職員の蔵書管理業務を効率化し、本の仕入れの最適化や利用者の利便性・満足度の向上を支援する。近年の図書館では、地域の人々をつなぎ、創発的な活動を生み出す場としての価値提供が図書館に求められており、そのための職員の教育やサービスの開発などにつなげていく。

また、DNPではUHF帯RFIDを活用し、図書館内の閲覧履歴を自動的に取得するシステムの開発も進めている。これにより館内でよく読まれる本のジャンルやテーマを可視化し、選書の効率化などにつなげることが可能になる。さらに、書店でのRFID導入の実証実験にも活用していく予定である。DNPは、RFIDを活用した蔵書管理関連サービスで2027年度までに累計10億円の売上を目指す。

作業用専用キットでの作業の様子

本サービスを含む図書館向け蔵書点検サービスは2023年10月24日(火)から25日(水)にパシフィコ横浜で開催する「図書館総合展2023」にも出展される。

<「図書館総合展2023」>
URL:https://www.libraryfair.jp/

関連記事

最新記事