DNP シンガポールのVatic社と連携して日本初のクッキーに依存しない、推定した検索キーワードに基づくターゲティング広告を提供

大日本印刷株式会社は2023年10月26日(木)、独自のデジタル広告配信ソリューションを開発・提供するシンガポールのVaticAI社と連携し、サードパーティークッキーに依存しないターゲティング(追跡型)広告の配信・分析サービスの提供を開始する。このサービスは日本で初めての提供であり、クッキーを使わず推定した検索キーワードに基づいてターゲティングが可能になっている。

近年、プライバシー保護の観点からクッキーの利用が規制され始めており、2024年後半には全面的に廃止される予定になっている。そのため、クッキーに依存しない広告サービスが求められている。

それぞれのキーワードを照合して、広告を配信するWebサイトを選定するイメージ

新しいサービスの一つとして、Webサイトの内容を解析して、広告配信先に適したWebサイトを選定する「コンテクスチュアル・ターゲティング広告」が注目されているものの、Webサイトの来訪者の属性を加味したターゲティングができないなどの課題があった。

こうした課題に対してDNPは、Vatic社のサービスを用いて、より広告と関連性の高い配信先Webサイトと、広告に対して興味を持ちやすいWebサイト来訪者の両方をターゲティングして広告表示を行なうことで、効果の高い広告配信を実現する。

同サービスの特長には3点が挙げられる。

1.ターゲットとなる可能性の高い人が訪れるWebサイトを選別
Vatic社は、Webサイトの「パーパス(意図)」を解析した上で、生活者がそのWebサイトに訪問(流入)する可能性の高い検索キーワードを推定するアルゴリズムを強みとしている。今回、Vatic社が推定したWebサイト側の検索エンジンで検索されやすいキーワードと、広告主が設定する広告と親和性の高いキーワードを照合して、広告ごとに親和性の高いWebサイト(配信先)を選定し、広告表示の効果を高めていく。

2.各Webサイトの来訪者のうち、広告に対して行動を起こしやすい人を選別
本サービスでは、抽出したWebサイトに来訪した人の中で、広告に興味を持ちやすい属性の人に限定して広告を表示する。この機能は、生活者が会員サイト等を利用する際に、広告用途での利用に同意して個人の属性を提供した場合、その属性情報を暗号化してIDを作成し、類似の属性を持つID群(コホート)として活用することで実現できる。Webサイトの来訪者の中で、広告内容の製品・サービスに高い関心を示すことが予測される属性のコホートに限定して広告を配信することで、よりピンポイントかつセキュアなターゲティングにつなげていく。

3.広告対象のWebサイトにユーザーが10秒以上滞在した段階で広告料金が発生
デジタル広告の多くはクリック数に応じて課金されるが、本サービスはWebサイトの来訪者が広告をクリックした後10秒以上広告主のWebサイトに滞在した場合にのみ広告料金が発生する。広告主は、購買等の行動の見込みが高い来訪者に、優先的に費用を使うことができる。

今後の展開としてDNPは、クッキーを使わずにWeb広告の効果を高めたいというニーズに対して、すでに多様なサービスが展開されている海外市場を調査している。
そして、他社に先んじて、グローバルIDベンターと提携し、商材の認知促進から購買等の行動促進に至るまでの幅広い目的で活用できるクッキーレスIDソリューションを国内に導入する取り組みを進めていく。購買等の行動促進に強みを持つ本サービスを既存のソリューションと組み合わせて、本サービスの提供を進め、2025年までに累計100億円の売上を目指す。

また、個人情報保護と企業等の広告活動を両立するデジタル広告ソリューションの開発・提供をさらに進め、“ポストクッキー”のサービスを拡充するとともに、新しい顧客データ分析基盤の開発も進めていく予定である。

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