出版科学研究所 出版市場は3年連続プラス成長、電子が牽引、紙の書籍も増加

紙の出版市場と電子の出版市場の推移
紙の出版市場と電子の出版市場の推移

出版業界の調査・研究機関、公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所は1月25日発売の『出版月報』1月号で、2021年(1~12月期累計)の出版市場規模を発表した。紙と電子を合算した出版市場(推定販売金額)は、前年比 3.6%増の1兆6,742 億円と3年連続でプラス成長となった。電子出版が同 18.6%増と引き続き拡大。紙の書籍も同2.1%増と15年ぶりに増加に転じた。出版市場全体の電子出版の占有率は27.8%で、前年の24.3%から 3.5ポイント上昇し、3 割に迫っている。

2021年の紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比1.3%減の1兆2,080億円。内訳は書籍が同2.1%増の6,804億円に対し、雑誌が同5.4%減の5,276億円だった。巣ごもり需要が2021年も続いたため、プラスに推移したと分析している。一方、新型コロナの感染状況が落ち着いた秋以降は書籍・雑誌ともにマイナスとなった。

書籍は、児童書、文芸書、中学学参、語学・資格書などが前年を上回る好調な売れ行きで、2006年以来のプラス成長。返品率も32%台まで改善した。

雑誌は厳しい状況が続き、月刊誌(コミックス、ムッ ク含む)が同4.5%減、週刊誌が同9.7%減。月刊誌のうち、定期誌は約7%減。2021年はコロナ禍での刊行 延期・中止がほぼなく、通常通りに刊行されたものの、部数減が続き、休刊誌も多い。

電子出版市場は前年比18.6%増の4,662 億円と大幅に増加。内訳は、電子コミックが同 20.3%増の4,114 億円、電子書籍が同12.0%増の 449 億円、電子雑誌が同10.1%減の99億円。

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