住友林業 レンゴーと基本合意書を締結、建築廃材活用でCO2削減と資源循環に貢献 木質バイオエタノールで持続可能な航空燃料SAFを支える新事業を始動
住友林業株式会社はレンゴー株式会社と、木質由来のバイオエタノールを活用した持続可能な航空燃料(SAF)製造を目的に、基本合意書を締結した。
住友林業が住宅建設現場で発生する建築廃材を原料とし、レンゴーグループが技術・製造基盤を提供するかたちで協業を進める。
両社は今後、2025年12月を目途に共同出資会社を設立し、2027年までに年間2万kLの商用生産を目指す方針を示している。製造されたバイオエタノールは燃料事業者に供給され、SAFとして航空燃料に転換される予定である。
脱炭素社会実現へ向けた取り組みとSAFの可能性
航空業界が直面するCO2削減の課題
地球温暖化対策として、国際民間航空機関(ICAO)や国際航空業界団体(IATA)は、2050年までにCO2排出実質ゼロの目標を掲げている。SAFは、従来の石油由来ジェット燃料に比べ、CO2排出量を70〜80%削減できる手段として注目されているが、現時点では世界的に供給が不足している。
2022年時点でのSAF供給量はわずか30万kLとされ、2050年に必要とされる4.5億kLには遠く及ばない。このギャップを埋めるためにも、食料と競合しない木質系バイオマスの活用が急務となっている。
木質廃材を活用した循環型ビジネスモデルの構築
同プロジェクトでは、住友林業が静岡県周辺の住宅建設現場から建築廃材を収集し、CORSIA認証に適合する原料として供給。製造は、レンゴー子会社の大興製紙株式会社の本社工場で行われる。
技術面では、レンゴーグループの株式会社Biomaterial in Tokyoが持つバイオマス化学品研究開発力を活用。加えて、製造過程で発生するリグニン成分についても、住友林業が住宅用塗料などへの応用を視野に入れており、木質資源を余すところなく活用する循環型モデルを構築する。
国産SAFの拡大に向けて、バイオリファイナリー事業を加速
住友林業は2024年1月に「バイオリファイナリー推進室」を設立し、植物由来資源から化学品や燃料を生産する技術開発に注力している。今回のプロジェクトを皮切りに、商用レベルでの量産体制を確立することで、化石燃料からバイオ燃料への転換を推進し、日本国内でのSAF供給力強化にもつなげていく構えである。