中央公論など出版4社 王子製紙と共通仕様の文庫用紙を開発
角川春樹事務所、河出書房新社、筑摩書房、中央公論新社の出版社4社はこのほど、王子製紙と文庫用の本文用紙を共同開発した。
出版社は自社が発行する紙媒体で各社オリジナルの用紙を使用してきた。文庫の本文用紙はそれを代表するもので、判型が各社ほぼ同じでありながら、用紙の色味、厚み、手触りなどに独自性を持たせている。
一方で本来、手軽で安価に大量に流通する文庫は、オリジナルの用紙が利用されるために一時的に用紙不足に陥るリスクがあった。長引く出版不況もあって、オリジナルの用紙が文庫の安定供給の課題となっていた。
製紙メーカーは全般的な出版用紙の販売低迷に伴い、用紙銘柄の統廃合による生産効率の向上が課題で、各社オリジナル仕様の文庫用紙の生産を維持することが困難となっている。
今回、出版社4社は、文庫本文用紙の共通化に向けて話し合いを重ね、メーカーの協力を得ながら数回の試作と品質試験を経て、共通仕様の用紙を完成させた。これにより出版社4社では資材調達と購入価格の安定化を図る。
開発した共通仕様の用紙は、今年2月刊行の新刊から順次切り替えていく。
■銘柄名:王子共通文庫用紙
■米坪:56.8g/㎡
■寸 法:巻取)890×(660) 33.5 17.8R巻、904×(638) 32.5 18.5R巻 / 平判)904×638 32.5 ※スキット・バラ